第575話対悪食戦線14
「さてさて、まずは一匹みっけ」
ここは主星イグロシアル近郊の宇宙空間…
目的の存在をみつけたシャドウリーゼは対象を目指して先制攻撃を仕掛ける。
「むっ!?」
対象はシャドウリーゼの攻撃に反応を示し身を躱す事に成功する。
「ふふっ、よく躱したねー。適当にやったとはいえ完全に不意打ちだったはずだけどなー?キャリーメル?」
シャドウリーゼは言った。
「なぜ私を襲う?私はもはやそちらとはなんの関わりもないはずだが?」
シャドウキャリーメルはそんなシャドウリーゼに応えた。
シャドウキャリーメルの言っている事は紛れもない事実である。
それはキャリーメルの影武者を用意する上での経緯に関係していた。
オリジナルラグアは様々な宇宙から半ば拉致に近い経緯で自分達の影武者を集めていた。
必然的にキャリーメルもその対象だった。
最初は適当に自分の配下になる前のキャリーメルを探せばいいと考えていた。
だが、考えてみてほしい。
キャリーメルは元々ラピロアの配下だが、そもそもアラウザルゴッドはラピロアも含め一体しか存在しないのだ。
つまり…
遡る事、数兆年…
ようやくみつけたシャドウキャリーメルはラグアにもエルミナにも…そしてラピロアさえも何の関係もないキャリーメルであった。
すなわちシャドウキャリーメルはオリジナルラグアの神級スキル、黄泉の神に縛られていただけで、その縛りがなくなればどこの勢力に味方をする義理も義務もありはしなかった。
「うん知ってる。それもわかった上でリーゼはお前を殺そうとしているんだよ?」
シャドウリーゼは言った。
「どうゆう…いや、この状況で単独行動しているという事はそうゆう事か」
「正解。リーゼもお前といっしょなんだよ。アイツらの味方をする気なんてさらさらないし、かと言って侵略者側でもない。強いて言えば第3勢力ってヤツだね。まあ当たり前だけど、第3勢力同士も味方じゃないけどね?」
シャドウリーゼはそう言いながら千手観音モードを展開する。
「…私はこの戦いは傍観者に徹しようと思っていた。だが、黙ってやられるつもりはない。退け。おそらく戦えばそちらが勝つだろう。だが、私と戦えばそちらも無傷ではすまないぞ?おそらくそちらの行動から察するに、私の神格エネルギーが目的なのだろうが、それでは本末転倒ではないのか?」
言いながらシャドウキャリーメルも構える。
「お前ごときの足りない頭でリーゼを推し量るか。愚かだねー?愚かすぎて滑稽だよ」
こうしてシャドウリーゼVSシャドウキャリーメルの、第3勢力同士の戦いがはじまる。




