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第573話対悪食戦線12


「ラグア様…」


シャドウラグアのその宣言に対して、シャドウラグアの脇に控えていたシャドウエリス…ラグアが未来から連れてきたエリス・エルライドと名乗っていたエリスは歯切れの悪い返事をした。


「あ?どうしたエリス?俺なんか変な事言ったか?」


シャドウラグアはそう言ったが、それに対してエリスは答える。


「ラグア様、ご報告申し上げます。先程、いえ…私達が神級スキル、黄泉の神により復活した段階でリーゼ様はギースとマリアを連れてイグロシアルを出て行きました。おそらくもう帰ってはこないかと…」


「は?」


「更に時を同じくして、ミグとシーラは独断行動…キャリーメルも別で動き出しました。申し訳ございません。もはや最高戦力を全員集めるのは不可能です」


「集められるだけ集めろっ!!減れば減るだけ生存率が下がるっ!!急げっ!!」


「はっ、ただいまっ」


シャドウエリスはそう言うと玉座の間から一瞬で消えた。




「で?結局集まったのはこんだけか…」


シャドウラグアは呟いた。


現在玉座の間に集まった最高戦力は僅か6名…


エリス、リオーナ、リムリット、フィローラ、バルト、ライナーだ。


「申し訳ございません。シオンとシュドレも私達が動き出したのを見計らってそれぞれ単独行動を…」


「いい。気にするな。エリス。お前はよくやったよ。それにまだウルドナートもいる。戦力は半減してるが、十分対応は可能だ。俺は今から生き残る為の準備をはじめる。ウルドナートと協力してできるだけ時間を稼いでくれ」


シャドウラグアはエリスに労いの言葉をかけつつ、そう言った。


「はっ」




〜シャドウラグアの宇宙、とある場所〜


「ふふっ、いい感じにバラけたねー。まあ予想通りだけど」


シャドウギースとシャドウマリアを自らの神級スキル、思現の神に収納したシャドウリーゼは言った。


「このパパ…いやもういいや。この宇宙のラグアにはオリジナルにはある絶大な力も他の最高戦力との歪な信頼関係も皆無だしね。まあ唯一カリスマ性だけは多少残ってる様だから、戦力が半減する程度で済んだみたいだけどね?」


シャドウリーゼは言った。


オリジナル達のシャドウに対する方針は、1秒でも早くオリジナル達の神格エネルギーに追いつく事を最優先とし、この千年それ以外の信頼関係を作る時間を一切省いていた。

例えばそれは、シャドウミグとシャドウラグアがお互いに仲間だと認識する為の大切な時間だったり、シャドウシュドレの両親を生き返らせる、シャドウシュドレの反骨心を緩和する為に必要な事だったりしたが、それを全て省いたのがこの結果である。


「さて、まずは孤立したヤツらから各個撃破といこうか。まだ攻めてきてるヤツらと構えるのは危険だしね?」


赤と青に光るオッドアイの瞳を、爛々と殺気に輝かせながら、シャドウリーゼは言ったのだった。

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