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第562話対悪食戦線


〜約1ヶ月後〜


「さて、まずは初手か…」


何もない宇宙空間…

そこにポツンと浮かんだ玉座…

そこに座りながらリーゼは呟いた。


ここはかつてラグアが影武者と黄泉の神を手にいれた宇宙である。

ラグアの神格ビッグバンの影響でつい昨日までは本当に何もない空間であった。

そう昨日までは…


現在ここにはリーゼを筆頭に、イグロシアル最高戦力と呼ばれる化け物達が集まっていた。

ちなみにその基準に満たないメンバーは既にリーゼの神級スキル、思現の神により宇宙ごとシャドウと入れ替わっている。

つまり現在ラグア達が本当に拠点にしている、ウルドナートの宇宙は既にリーゼの中にしか存在しないのだ。


リーゼはそのメンバーの中でも一際目立つ絶世の美女を見据えると言う。


「リオ姉。今からコレートルに仕掛けるけど、総指揮頼んでいい?計画の序盤はリーゼはここから…パパはシャドウ達から離れられないしさ?」


リオ姉…リーゼはいつからかリオーナの事をそう呼ぶようになっていた。

別に何か特別な事があった訳ではない。

この千年…リーゼはリオーナを超える為、戦略、読み合い、神格エネルギーを磨き続けた。

だがそれでもこの千年…そして現在進行形でリオーナはリーゼより常に全ての面において少し上をいく。

今回のシャドウ計画はリーゼの発案だが、それはリーゼにとってはこの千年で最初で最後の勝利だった。


尊敬?違う…嫉妬?もっと違う…ただこれだけは言える。

リーゼがあんたを超えるその日まではあんたの事は認めてやるよ。

それが複雑な感情の結果リーゼがリオーナをそう呼びだしたはじまりだった。


そんなリーゼの感情をわかりながらリオーナは笑みを浮かべる。


「いいわリーゼちゃん。可愛い姪っ子の頼みは快く受け入れるわ。とりあえずあたしの初手は適当な打撃を与えたら即時撤退だけど…ふふっ、その様子だとリーゼちゃんも同じ考えみたいね?」


リオーナは読心を使わずにリーゼの感情を読みながら言った。


「…打撃を与えてコレートルにこちらを敵と認識させる」


リーゼは感情を読まれた事に一瞬、不機嫌になりかけたが、それを表には出さずには言った。

もっともそんなリーゼの感情は、リオーナ以外にはわからないのだが…


ここで唐突に話題が変わる。


「そうね。ミグはここに置いて行くけどいいわよね?」


「うん。それはリーゼも同意見だね」


「えー!?なんでー!?」


惑星国家イグロシアルの、事実上の参謀とも言える2人に、いきなり戦力外通告を言い渡されたミグの叫び声が響くのだった。

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