第557話シャドウ
〜惑星国家イグロシアル、玉座の間〜
「パパ?シャドウの調子は?」
ルルの生誕祭から戻ったリーゼは俺にそう聞いた。
「未来型はなんとか実用可能レベルだ。だが、本音をいうと未来型はあんまり使いたくねーな。いくら俺でもあれを使い潰すのは心が痛むぞ?それに30年型は1人除いてほぼ皆殺しにしちまったしな?」
俺はリーゼにそう答えた。
「うーん…やっぱりパパは優しいよね。でも万が一の時は使わなきゃダメだよ?統治者は時には冷酷な判断も必要だよ。パパは本当に大事なのかどっちかわかるよね?まあ30年型からは、シャドウと黄泉の神がとれたからいいじゃん?」
「………ああ、わかってる。つーか30年型の方はあの時代のミグとその関係者を全員皆殺しにしてようやくな?あまり時間かけると他のアラウザルゴッドに感づかれる恐れもあったから、全力ではないにしろ神格ビッグバンまで使ったんだぞ?」
「まあ…あれはもったいなかったよね…まあ、あの空っぽの宇宙も使いどころはあるし、よしとしよーよ?」
俺とリーゼはそんなやりとりをする。
シャドウ…つまりは影…
それはリーゼが約1000年前にたてた外道とも言える計画だった。
〜
約千年前…
俺達はあのあと検証を行った。
まず千年前のあの段階で、アラウザルゴッドは本当に6体しか存在しないのか?
答えはその通りだった。
まず未来…一度俺は創造の概念で生み出した、下級神に神通をくっつけて未来のイグロシアルのある宇宙に…具体的には100年程あとに送り込んだ。
もしかしたら未来の俺がいるかもしれないと…
なぜ?俺がいかないか?
未来の俺が俺より強かったら逆にやられちまうだろ?
まあ結果はいないどころか、あの宇宙はめちゃくちゃだった。
なんとあの宇宙は何故かエリスが支配していた…
詳しく調べると俺はジジイとの最初の戦いに敗れて戦死…エリローズともにウルドナートの宇宙に飛ばされたエリスは、俺の復活を画策しながら、俺から受け継いだ神級スキルを使ってウルドナートを抱き込みジジイに復讐戦をする準備中だった。
この宇宙のエリスは既にオリジンゴッドと化しているようだったが、謎は深まるばかりだった。
そもそも何故不滅の概念を持っている俺が死んだのか?
その疑問を解消すべく…いや、一番の理由は未来の俺自身というもっとも危険な存在がいなかった事だが、俺はその宇宙に行ってみる事にした。
今から約千年前…
俺はそう考え、約100年程先のイグロシアルに向けて転移したのだった。




