第550話千年の月日…
それから約千年の月日が経つ…
千年…それは神々からしてみればほんの一瞬かも知れない。
それはそれとして、この千年で惑星国家イグロシアルには多くの変化があったが、それは追々説明しよう。
〜
〜ウルドナート宇宙内、とある惑星の玉座の間〜
「は?まだ準備ができていないっ?ふざけてるのかっ!!」
「いっいえ…しっしかしミリー様、首都全体をサファイアに染め上げるのは私共の力では…」
「それをなんとかするのが貴様らの仕事だろ?貴様らは私に恥をかけと?この私が…第三百六十七星帝、ミリー・オルガット・イグロシアルに母上の生誕祭もまともに祝えないクズと兄上や姉上に見限られ、弟や妹達には無能な姉とレッテルを貼られる。そうなればいいと?そう言いたいのかっ!?」
玉座に座る者…真っ赤な瞳に真っ白な髪…そして右側に一筋だけ青色のメッシュの入った女はヒステリーを起こして配下の男に怒鳴り散らした。
ミリーはその勢いで玉座から立ち上がると後方を振り返る。
この惑星のトップである彼女に跪く事なく後方に立つ存在…
ミリーはその存在の名前を呼ぶ。
「セグリットっ!!もう頼れるのはお前だけだ。なんとかしろっ!!」
セグリットと呼ばれた男はミリーのその言葉に対して心底意味がわからないとばかりに首を傾げる。
「ミリー様、それはボクに言っているのですか?」
「そうだっ!!私が命令しているのだっ!!第三百六十七星帝補佐セグリットっ!!お前にだっ!!」
ミリーは苛立ちながらまくし立てた。
「どうやらミリー様はボクの役割を勘違いしているみたいですね?ミリー様はボクの役割をなんとお考えですか?」
「私の配下だろっ!!貴様はっ!!」
セグリットの面白くない返答についにミリーはブチ切れた。
「はっきり言いましょう。ボクは…いや、ボク達はミリー様の配下ではありません。そう。ボク達リムリット神衛団が従うのはマスターのみです。そんなボクにマスターから与えられた使命は第三百六十七星帝のミリー様の護衛と戦闘補助…今回の命令はそこから逸脱している。従ってボクにはミリー様の命令を聞く義務も義理はありはしない。そこのところはお分かりいただけていますか?」
対するセグリットは一歩もひかない。
「もういいっ!!役立たずがっ!!」
ミリーは怒鳴り散らしながら玉座を蹴り飛ばす。
玉座は2〜3メートルほどぶっ飛んだ。
こうしてみれば分かる様にミリーは王級クラスにも至ってはいない。
三桁台…それも300〜400番台の星帝には珍しい事ではないが、それがミリーが目の前の事態を自分ではどうにもできない事の証明でもあった。
どうする…
母上の…神星帝皇后、ルル・オルガット・イグロシアルの生誕祭は2週間後にまで迫っている。
しかも今年は母上の丁度800万歳の節目の年…
ぶち壊したら恥どころでは済まされない。
処刑ものだ。
くそっ…なんで一年前の自分はこんな話を受けたのだ…あの時の自分を殺してやりたい。
考えろ。
あと2週間でなんとかするしかないのだ。
ミリーはこの最悪の事態をなんとかする為に頭を巡らすのだった。




