第546話古代アルムス侵略戦28
ザンッ…
部屋に切断音が響く。
これは何の音か?
リーゼが人元ロロ・ベアトリクスを左右に両断した音である。
通常、帝級中位のリーゼの攻撃など神級寸前のロロには大した効果を得られない。
だが、シオンの夢想の神国は神格エネルギーに干渉しない範囲で、考えた事を現実にするチートスキルである。
ロロの耐久は、リーゼでも両断できる程度にまで落ちていた。
しかも、同じく夢想の神国で不滅の帝の再生すら抑えられていた。
そう。
これは本当にリーゼの言った通り、抗えない理不尽であった。
その時だ。
「ぐっ……きた…」
突如リーゼを襲うのは本日二度目の激痛…
神格化である。
「ぐうぅ……被ってるのは不滅の帝だけか…でも他の帝級スキルを神格エネルギーに変換しなくてもなんとか上級神まではいけるはず…」
リーゼの言葉通り、リーゼの頭には次々にメッセージが流れる。
対象ロロ・ベアトリクスの全ての帝級スキルの譲渡を確認。
固有名、リーゼ・エルライド・イグロシアルの神格化を開始。
固有スキル、神格を獲得。固有スキル、神託が固有スキル、神通に進化。
称号、中級神を獲得。
不滅の帝の重複を確認…神格エネルギーに変換…
称号、上級神を獲得…神格化に伴い、levelの項目が消滅。HP、力、耐久、俊敏の項目が∞表示になります。
そして…
激痛がおさまる…
リーゼは口を開く。
「神級スキル、思現の神か。神級スキルは神格化した者の意思が反映される。つまりこれはリーゼの望んだ結果ってことか…」
リーゼはそう言いながら詳しくスキルの効果に目を通す。
神級スキル、思現の神…
思考と現実の境を司るスキル…
思考を現実に…現実を思考に変化させたり、入れ替える事が可能になる。
「シオンの夢想の神国に近いか…いや、似て非なるものか。ただリーゼの望んだスキルだけあっていろいろと使えそうだよ。これは」
リーゼの頭の中ではこのスキルを利用した計画が既にいくつか浮かんでいた。
ならばこうしてはいられない。
「シオン、リーゼは用ができたから一足早くイグロシアルに戻るよ。ギースとマリアの方は頼んだよ?帝級になったらイグロシアルに送り届けて。それが終わったらライナー達のサポートに回って。向こうも決着がついたみたいだし?」
リーゼは神級になって得た能力…神の千里眼でライナー達の様子を見ながら言った。
こうしてリーゼは計画を次の段階に進める為にイグロシアルに戻るのであった。




