第541話古代アルムス侵略戦23
「へえ、セリーがねー…」
その言葉はミグの口から出たものだ。
現在、ライナーは絶賛思考停止中である。
「でもさ?」
そう言いかけたミグからは、これまでの雰囲気とはうって変わった濃厚な殺気が溢れ出す。
「この大惨事、一歩手前の責任は誰がとるのかなー?」
ミグのオリジンゴッドの濃厚な殺気が場を支配する。
ライナーはセリーを殺しかけた…
セリーはその原因を作り出した。
「ミグ様、全責任は私がとります。ラグア様に咎められるべきは元凶を作り出した私です」
セリーはミグの濃厚な殺気に一切臆さずにそう言った。
そしてセリーのその言葉でライナーも思考停止状態から我に帰る。
「なっ!?ミグ様、セリーに責任はありません。全責任は俺がとりますっ!!」
ライナーは言った。
「いえ、ここは私に責任が…」
「黙れっ、俺が総統だって言うなら言う事聞けよっ!!」
「ライナー様…いやライナー、四天王の同期として最後に言わせろ。黙るのはお前だっ!!」
「はい、ストーップ」
ライナーとセリーの怒鳴り合いがはじまった時、ミグはそう言って2人を止めた。
既に先程の殺気はなりを潜めている。
「ごめんね?試すような真似してさ?でも仲間思いのヤツはあたしは好きだよ。あたしは今回の件は師匠には黙っておく事にするよ。万が一師匠の耳に入っても、あたしに任せといて?師匠にはあたしがうまく言っとくからさ」
ミグは2人に笑顔でそう言った。
「「ミグ様…ありがとうございますっ!!」」
ライナーとセリーは2人同時に腰を90度に曲げる。
「気にしなくていーよ?てかさ、今思い出したけどいい加減解放してあげたら?」
ミグの言葉に2人は同時に思い出す。
「おいっ、セリー?」
「すまん。フィリア、フィリム。完全に忘れていた」
言いながらセリーはダークマジックバインドを解除するのであった。
〜
時は少し遡る。
〜古代アルムス、旧大魔王、ラグア・ベルゼ・アルムス領、現人元ロロ・ベアトリクス領〜
その郊外には4人の姿があった。
「さて、そんじゃはじめようか。シオン?よろしく」
そう言ったのはもちろん、この4人の中の最高権力者…リーゼ・エルライド・イグロシアルである。
「はっ、リーゼ様の仰せのままに…向かいくる敵は全てあたしが殺さずに無力化致します。リーゼ様達はどうぞ動かない人形共を相手に安全で一方的な狩をお楽しみください」
それに答える、惑星国家イグロシアル、特別幹部シオン・ヴェルゾアスは現地の者達からしてみれば、あんまりにあんまりな事をサラリと言ってのけた。
こうしてリーゼ達の戦いですらない…それこそあんまりにあんまりな蹂躙がはじまろうとしていた。




