第538話古代アルムス侵略戦20
あれは使えない。
少なくとも今は…
それがライナーの結論だった。
ならば…
そう思ったライナーはセリーに迫るが、旧モデル特別仕様ラグアの分体に邪魔されて近づけもしない…
「ライナー、まさかここまでやるとはな…見事だ。私は貴様を相当過小評価していた様だ。それにさすがに勝てぬからと言って術者である私を倒しにくるか?それも貴様にしてはいい判断だが、致命的な欠点があるぞ?私を倒したところで何も変わらない。貴様を捕獲するまで攻撃は止まらん」
セリーはライナーの意図を完全に勘違いしてそう言った。
セリーを保護すれば、ライナーは最後の帝級スキルを使う事ができる。
ライナーの考えはそこだったが、セリーはその行為を別の意味に受け取ったようだ。
「セリーそうじゃない。今から俺は最後の帝級スキルを解放する。別にそれを使わないまま負けるのは、俺個人的には構わないが、それではラグア様の意思に反する。頼む。お前の為だ。黙って俺の技を受けてくれ。発動、帝級スキル、空間帝」
ライナーは最後の願いとともにセリーを別空間に隔離しようとする。
だが、ライナーの願いは当然届かない。
セリーはライナーの空間帝に魔導帝で抵抗する。
「ライナー貴様、どこまで私をコケにするつもりだっ!!」
セリーは逆上しながら叫んだ。
もはや何を言っても無駄だ。
ライナーはそう判断すると言う。
「………わかったセリー…だが約束して欲しい。死ぬなよ?」
「ライナー貴様一体…」
セリーの言葉には答えず、ライナーはその言葉を最後に動き出す。
もちろんそれを察知した無限分裂状態の旧モデル特別仕様のラグアの分体も黙ってみている訳ではない。
一斉に千手観音モードによる、数多の帝級スキルを付与した触手の猛攻がライナーに襲いかかる。
ライナーの動きはいままでと変わらない。
剣帝、空間帝、光速の帝、理の帝、ときには重力帝や幻惑の帝を駆使してかわしていく。
そんな時だ。
不意に無限分裂のうちの一体が孤立する。
それを見たライナーの動きは早かった。
空間帝の瞬間移動、重力帝のゼログラビティまで駆使してその孤立した一体に肉薄する。
ライナーは孤立した一体に掴みかかる。
「発動、帝級スキル、反転の帝!!」
ライナーはそう言って最後の帝級スキルを発動させるのだった。




