第536話古代アルムス侵略戦18
「はあっはあっ…」
「さあ、ライナー答えろっ!!」
息を切らしたライナーをセリーは問いただす。
「なんでわざわざ操ってるお前に説明しなきゃなんねーんだよっ!!」
ここでさすがのライナーもセリーに怒鳴り返した。
ライナーが旧モデルの特別仕様のラグアの分体による、千手観音モードの連撃に対処できたカラクリは、光速の帝と理の帝の高度な使用方法によるものである。
例えば理の帝により、俊敏と他のステータスを入れ替えれば、俊敏の∞は失われて∞のステータスで動く事はできなくなる。
だが、それでもつい一瞬前までは∞のステータスで動き回っていたわけであり、思考速度自体は急激に本来のステータスに近づくが、それは決して即座に戻る訳ではない。
だからこそライナーはほんの一瞬でも余裕ができる度に理の帝を解除して、俊敏の∞ステータスに書き換え、その思考速度を維持する事に努めた。
それがステータスでは圧倒的に劣るライナーが、旧モデル特別仕様のラグアの分体の攻撃に曲がりなりにも対処できたカラクリである。
もっともそれは、ライナーの類い稀なる戦闘センス…帝級スキル、剣帝のみでセリー達3人と同時にわたり合う事ができる、ふざけた能力があってこそのものなのだが…
「まあ、さすがにそこまでバカではないか。聞いた私がお前をなめすぎたな。では第二ラウンドといこうか?次も上手く対応されたなら、私は貴様の下で働く事を約束しよう。スキル解放」
旧モデル特別仕様のラグアの分体の目が再び怪しく光る。
「発動、帝級スキル、不滅の帝、無限分裂」
「だーっ!?おいっ!?冗談だろっ!?発動、帝級スキル、七大罪、幻惑の帝!!」
たまらずライナーは帝級スキル二つを解放する。
これで残る帝級スキルはあと2つである。
ライナーは幻惑の帝で生み出した分身を、即座に自動操作に切り替える。
自分の頭では分身を操りながら戦う事などできるはずはない。
そんなのはセリーや、主であるラグア様の専売特許だ。
もっともセリーは完全にはできないがライナーはそこまでセリーの能力を詳しくは知らない。
次にライナーは無限分裂の分体が次々に襲いかかる直前に空間帝により、召喚した七大罪を遙か遠くに…バフの効果範囲ギリギリに避難させる。
帝級スキル、七大罪はそのバフ効果こそ圧倒的だが、直接戦闘に用いるにはあまりにも脆い…
「こうなったらやるだけやってやるよっ!!畜生がっ!!」
こうして無限分裂の大量の分体と、ライナーの召喚した半実体の幻覚達はぶつかるのだった。




