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第535話古代アルムス侵略戦17


覚悟を決めたライナーが身構える。

その瞬間、既に特別仕様のラグアの分体は動き出していた。


「ぐぇぇぇぇぇぇ!!」


それはライナーの口から出た声だ。

ライナーの腹には大穴が空いていた。


ライナーは腹の大穴を無視して、光速の帝の∞の俊敏をそのままに距離をとる。

2撃目、3撃目と触手がライナーを襲うがライナーはそれをなんとか躱せないまでも致命傷は避ける。

それを見たセリーの目は驚愕に見開かれる。


「∞の俊敏を持っているとはいえ、遙かにステータスの劣るお前が旧モデル特別仕様のラグア様の分体の攻撃を避けるだと!?」


「発動、キングダムギフト、再生の王国」


セリーの言葉に答えている余裕のないライナーは言った。


ライナーは不滅の帝を持っていない。

キングダムギフトで対応するしかなかった。

ライナーの傷が一瞬で…いや、帝級上位同士の戦いでいえばゆっくり再生をはじめるが、もちろんそれを待ってくれるわけなどなかった。


「千手観音モード」


旧モデルの特別仕様のラグアの分体は虚ろな目でそう呟くと、体中から無数の触手を展開させる。


「発動、帝級スキル、理の帝」


ここでついにライナーも自身の帝級スキル1つを解放した。


千手観音モードにより触手の連撃がライナーを襲う。

ライナーが理の帝を解放したのは、全てを致命傷を避ける事が不可能と判断したからだ。


ライナーはまず最初の2撃を致命傷を避けて受ける。


即座に追撃してくる次の3撃を、理の帝で俊敏と耐久を入れ替える事で耐える。


さらに5撃がライナーに迫る。

これを受ければHPが吹き飛ぶ事をライナーは本能で知っていた。

即座にライナーは∞表示の耐久と力を入れ替え、迫りくる5本の触手のうちの一本に全力の剣帝の光速の剣を叩き込む。

触手の一本は切断には至らなかったが、半ばほどまで切り裂かれ、大きく軌道を変える。

ライナーは俊敏を∞に戻し、一本の触手の起動を無理やり変えた事によってできた触手の隙間をすり抜ける。

そんな事が一瞬の間に数兆撃も繰り返される。


「なぜ?なぜだっ!?こんなバカな事があるはずはないっ!!なぜまともに打ち合える?何故だっ!!」


セリーは叫んだがライナーに答える余裕はない。


「ちっ」


セリーは舌打ちをして、一旦旧モデル特別仕様のラグアの分体の指示を守護に切り替える事で自分の元に戻すのだった。

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