第530話古代アルムス侵略戦12
時は少し遡る。
セリー達が動き出した後、ライナー達もまた動き出していた。
並いるセリーの量産型アンデットを全て排除したライナーはウミルと共にいた。
「ライナー様、申し訳ございません。あんな偉そうな事を言いましたが、どう考えても私は足手まといですよね…あたしは置いて行ってください。直接あたしに手を下さなければ、ライナー様の敗退にはなりません。……ライナー様の勝利を心から祈ってます」
ウミルは最後に悲しそうにそう言った。
神級寸前の帝級クラスの中でも上位の実力を持つライナーと、プロトクローン…それも王級にすらなれなかった落ちこぼれ…
そんな自分が最高幹部で四天王で選ばれた存在である、ライナー様のサポートなどできるはずがないのは、先程のライナー様の力を見れば一目瞭然だった。
ライナー様に自分は必要ない。
ウミルの言葉は本心だった。
だが、そんなウミルにライナーは優しく笑う。
「…ウミル、お前がいなきゃ俺はとっくにセリーの罠にハマって敗退してたよ。だから今更お前を見捨てるなんて選択肢はない」
「ライナー様…」
ウミルが感激のあまり、目に涙を浮かべながらそう言いかけた時だ。
唐突に凶悪な気配を感じる…
そしてこれは見知った気配でもある。
「セリーか」
ライナーは呟いた。
次の瞬間、ライナー達の目の前にはセリーが転移してくる。
「ライナー?人形などに感情移入とは笑わせてくれるな?それでも貴様はラグア様の最高幹部か?本気なら今すぐ引退する事を勧めるぞ?」
「セリー様、ライナー様は…」
「ほう?人形風情が私に意見するか。貴様に話す価値などない失せろ。マジックバインド」
セリーの手からマジックバインドの光が放たれる。
ウミルでは反応すらできない速度で、セリーのマジックバインドの光がウミルに迫るが…
「ほう?ライナー、まさかとは思ったが、貴様本気の様だな?
セリーは言った。
ウミルとセリーの間にはライナーが割って入り、素手でセリーのマジックバインドをはじき返していた。
「ライナー、どうやら私はお前を買い被りすぎていたらしい。人形に感情移入などありえん。私は一応はお前を認めていたのだ。実力だけは四天王最強のお前をな?だがそれは間違いだった。お前はラグア様の配下には相応しくはない。フィリア、フィリム、ライナーをやるぞ?今ここでバカはどこまで言ってもバカだと言う事をラグア様の前で証明してみせるっ!!」
セリーは叫んだ。
「なんかセリーが仕切ってるけど、セリーは別にリーダーじゃないんだけどー?ねえ、フィリム?」
「フィリア、私も同感だ。だがここでライナーには退場してもらうというところだけは、セリーに賛同する」
フィリアとフィリムがそんなやりとりをしながら現れる。
こうして事実上の四天王達の決戦が始まろうとしていた。




