第528話古代アルムス侵略戦10
〜第二簡易ダミーエルライド城、玉座の間〜
「これで4つか。まあ少しはライナーに近づいたか?」
玉座に座りながら量産型アンデットを召喚し続けるセリーはそんな事をつぶやいた。
セリーは先程のメアリーとの戦いで短期決戦をする必要があった。
だからこそメアリーに突っ込む前に触手を切り離し、その触手を死霊帝で操りながら魔道帝をこめてマジックハザードコアの発動にまわした。
いくらスーパータスカー…つまり同時に並列思考ができるセリーとはいえ、さすがに3箇所同時は厳しいものがある。
玉座の間の本体、そして打ち合う分体、さらにはマジックハザードコアに回した触手…
だがセリーは分体の制御が疎かになる事も承知だった。
制御能力が落ちた分体ならメアリーと打ち合ってもおそらく互角だろう。
そして相手は時間稼ぎが目的だ。
ならば即座に罠に気付く事は、心理上考えにくい。
セリーは思った。
結果は成功…
セリーのマジックハザードコアはメアリーをセリーの分体ごと跡形もなく破壊し、セリーの本体にはこうして帝級スキル、木星帝が送られてくることになった。
「さて次の手だが、もうアンデットはいらんだろう。私も出るとしよう」
セリーの本体はそう言いながら、死霊帝でこれ以上アンデットを作る事をやめ、玉座から立ち上がるのだった。
〜
セリーの本体が動き出した頃、フィリアもまた戦闘中であった。
「発動、帝級スキル、百鬼夜行」
「発動、帝級スキル、獣帝」
フィリアは帝級スキル、百鬼夜行により化け物達を召喚すると、獣族の男も異形の化け物と化す。
フィリアの化け物達と異形の獣族の男は激突する。
今のところお互いに決め手はなし。
獣族の男は一旦距離をとる。
「いきなり名乗りもしないで仕掛けてくるとはな?まあ、大魔王ラグア・ベルゼ・アルムスが討たれた群雄割拠のこの世界なら不思議ではないが、どこの手の者だ?」
獣族の男は異形の獅子へと変化した体で言った。
「神星帝、ラグア・エルライド・イグロシアル様配下、最高幹部にして四天王の1人、フィリア・アースだよー?さあ、偉大なるラグア様の為にお前には消えてもらおうか?百鬼夜行、形態変化、天狐」
その言葉でフィリアもまた異形の狐と化す。
こうしてフィリアと獣族の男の異形対決は幕を開けた。




