第527話古代アルムス侵略戦9
セリーのその言葉で抑えていたセリーの気配が爆発的にあがり、全力のセリーの状態とも言え腐竜の大蛇が構成される。
セリーにとってのラグアは偉大なる主であり敬愛すべき存在だった。
今展開した、死霊帝を八つの竜頭に変化させた腐竜の大蛇もセリーのそんな強い思いから生まれたものである。
一様にラグアへの忠誠心は高い四天王だが、その中でもセリーの狂信ぶりはずば抜けていた。
まあ、完全にラグアを唯一神として崇拝しているエリスには及ばないが…
エリスとセリーの明確な違いは競い合う味方という名のライバルがいたかどうかだ。
もちろんセリー自身、主が全幅の信頼をおいているエリスとは勝負になんてなるとは思っていない。
だが、他の四天王は…フィリアやフィリムには総合力で全てにおいて勝っている。
だがライナーは違う。
戦闘力自体は最初の頃は自分の方が上だった。
だがみるみるうちに差は縮まり、今では自分などこと戦闘力においては、ライナー足元にも及ばない。
頭ではわかっている。
ライナーは強い。
だが…
許せるはずがない。
あんなバカをエリス様の後継者にするなど…
確かに強い。
それは認めよう。
だが、戦闘以外の面では自分に軍配が上がる。
ラグア様が総統の参考にすると言った今回のこれが、直接戦闘なんかでなくてよかった。
やはりラグア様はわかっておられる。
そして私は、そんなラグア様の期待に応えなければならない。
瞳をギラつかせながらセリーはそんな事を考えた。
そんな事を考えながらセリーは特攻する。
何故なら時間がないからだ。
勝負は一瞬で決めなければマズイ。
力を解放した以上、妖元エフィル・クリムゾンは確実に自分の存在に気づいている。
目の前のコイツと妖元…
2対1で勝てると考えるほどセリーは楽観的ではなかった。
いきなりの帝級中位クラスの力の解放…
それに3つの帝級スキルの同時解放にメアリーは目を見開くが、すぐに対処に動く。
「!?っ、発動、帝級スキル、木星帝」
メアリーは木星帝によりセリーと同じように木の触手を展開するとセリーの腐竜の触手と打ち合う。
よし、これならいける。
時間を稼ぐ。
姉上が来た時がお前の最後だ。
メアリーは思った。
「なっ!?」
だがその直後それが最悪の悪手だと言う事に気づいてしまった。
まず帝級下位の自分が帝級中位のセリーとまともに打ち合えた事に疑問を持つべきだった。
そして最初に確認した時には、8本あったセリーの竜頭の触手が今は7本しかない事を…
セリーの腐竜の触手は次々とメアリーの触手に絡みつき、セリーとメアリーは限りなく近づく…
その時だ。
セリーとメアリーを球体が包み込んだのは…
「私と共に全て燃え尽きるがいい!!マジックハザードコア!!」
セリーとメアリーを包み込んだ球体の内部にはマジックハザードの嵐が吹き荒れるのだった。




