第526話古代アルムス侵略戦8
〜古代アルムス、旧大魔王、ラグア・ベルゼ・アルムス領、現妖元エフィル・クリムゾン領、上空〜
「さて、はじめるとするか」
大空に静止したまま青髪の女は呟いた。
彼女の眼下ではすでに騒ぎが起こっている。
「おい、空みろよ。なんだよあれ?」
「これエフィル様の耳にいれた方がよくないか?」
「いらぬ。姉上も気付いているはずだ。私がでよう。みたところ大した力は感じないしな」
そう言いながら1人のエルフの女が上空へと浮かび上がり青髪の女…セリーと対峙する。
ちなみに現在のセリーは分体である。
本体は量産型アンデットを生み出し続け、古代アルムスに無差別攻撃を仕掛け続けている為、手が離せない。
もちろん分体は完全に本体の制御下にあるし、HP以外のステータスは本体とまるで遜色はない。
事実セリーは分体にHPの半分を割り振っている為、本体との違いはない。
万が一本体がやられたとしても分体がいれば復活できる点も加えればセリーの分体は本体が単に分裂したと言ってもよかった。
襲撃箇所はフィリア達とは被っていないか。
まあ、分体が使えないあいつらにはだいぶハイリスクだから当然か。
それに1番先に動き出したのは自分だろうから今のところは当たり前だがな…
セリーは思った。
魔道帝は上空に停滞する程度を残して隠密に全力発動…
帝級上位には通用しないが、同格かそれ以下相手を騙すのには十分だった。
新しい三元魔が支配するこの地は大魔王ラグア・ベルゼ・アルムスの残党の中では最弱…
おそらく三元魔も自分といい勝負だろう。
帝級クラスの反応も二体のみ。
うち一体は今目の前にいる。
分体とはいえステータスに遜色がない以上、ラグア様の神託を持っている自分にはコイツを倒せば帝級スキルが受け継がれる。
あとは新しい妖元が同格かそれ以下かどうかだが、この状況を見る限り心配はなさそうだ。
自分よりも強者なら目の前の女と協力して自分を袋叩きにすればいいだけの話なのだから。
「誰だ貴様は?人の領地の上空で何してる?名乗れ」
セリーと対峙した女は言った。
「ほう?人に名前を聞く時は自分から名乗るんじゃないのか?まあいい。そもそも虫けらの名前を覚えるつもりもないしな?」
セリーの挑発に女はピクリと眉を動かすがそれにとどまった。
女は言う。
「これは失礼した。我はメアリー・クリムゾン。四天凶星の1人にして、姉上エフィル・クリムゾンの妹だ。王級ごときが何をしにきたのか聞いている?」
「セリーだ。偉大なる神星帝、ラグア・エルライド・イグロシアル様の配下。最高幹部にして四天王の1人…私が王級か。それこそ貴様が雑魚の証明だ。発動、魔道帝、死霊帝、不滅の帝、腐竜の大蛇」
こうして、セリーと四天凶星メアリー・クリムゾンとの戦いははじまるのだった。




