閑話魔王ロロ・ベアトリクス
ミュラは、数万年ぶりに見る、その姿に目を疑った。
上位3魔王の1人、13魔王内序列第2位、ロロ・ベアトリクス。
この世界の創世記から生きている、最強の魔王の1人でこの世界の頂点の一角。
性格は、気まぐれだが、人間性は上位3魔王の中で一番まともだ。
他の2人は、ただの過激派と邪神信者でとても、話が通じる相手ではない。
13魔王を作ったのは、13魔王内序列第1位、テオレーム・クリムゾンだが、神魔大戦を引き起こした張本人だ。
テオレームは13魔王内序列第3位、ソドム・グラファルと揉めて、神魔大戦を引き起こしたが、その理由は、私達にはわからない。
しかし、今目の前にいる魔王、ロロ・ベアトリクスが仲裁に入らなければ、今頃、自分達はおろか、この世界も存在しないだろう。
私は言う。
「ロロ様、お久しぶりです。今日はわざわざお呼びたてして申し訳…」
言い終わらないうちに、ミグがロロに抱きついた。
「うわーん、ロロ様ー。ひどいんだよー、ジオっち殺されちゃったし、ミュラっちは真面目過ぎて敵討ちに反対するしー。うわーん。」
ロロはミグの頭を撫でながら言う。
「お前は相変わらずだな、ほら?ミュラも困ってるだろ?お前もいい加減大人になれ?今年いくつだ?」
「えーっと997万8千…」
「言わんでいい。ミュラ、しばらく留守にして悪かったな。テオレームの馬鹿野郎は13魔王なんか作っておいて、ここ最近は放置だもんな。俺もしばらく会議に出てなかったから、人の事はあまり言えないが悪かった。」
ミュラは思う。
そういえば、ミグはロロに懐いていた。
神魔大戦時、単身でロロに切り込んできたミグをロロも気に入っていた。
もっともふつうなら、殺されるので、この魔王も変わりものなのだろう。
「いえいえ、勿体無きお言葉です。それはそうと、ミグのバカが失礼して、申し訳ございません。」
自分達、第二世代が敬語で接する相手など、もう上位3魔王ぐらいだ。
ミグは……………アイツは別だ。
「ミュラっち、あたしバカじゃないよー?ミュラっちこそ真面目バカだよー」
「いや、バカはお前だミグ。」
「えーロロ様ひどいっ」
こんなやりとりを見るのも数万年ぶりだ。
「でも、今まで来られなかったロロ様が急にどうして?」
「それなんだが、どうも、そのラグア様の名前を自ら名乗るふざけた魔王には、エリローズ様の加護がついているらしい。お陰でテオレームが動き出した。それに呼応して、ソドムも動き出した。ソドムはラグア様に心酔してたし、エリローズ様の事が許せないんだろう。どっちつかずな俺は、こうして、報告に来たわけだ。下手すればまた、神魔大戦が起こるぞ?」
ロロの言葉にミュラは目の前が真っ暗になった。




