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第521話古代アルムス侵略戦3


〜第一簡易ダミーエルライド城、玉座の間〜


「…いきなり無差別攻撃って…相変わらずセリーは手厳しいな…」


玉座に座る男…最高幹部、四天王の1人ライナーは呟いた。


「ライナー様っ!?既に城内に侵入を許しております!!あたしのアンドロイド兵じゃもうもちませんっ!!」


ライナーの前に跪く女…プロトウリンは少しヒステリック気味に言った。

ライナー以外の四天王なら、目の前でそんな態度をとられればよくて逆上…最低でも不機嫌になったり、最悪はその場で処刑もあり得るが、ライナーは特に気にした様子もなく答える。


「とりあえず城内と城の周りだけはなんとかしねーとな…俺が出るからプロトウリンはここにいろよ。ウチの参謀様には死んで貰っちゃ困るしな」


ライナーはプロトウリンにそう言って玉座の間を後にした。

プロトウリンの顔がほんのり赤かったのには、鈍いライナーは気づかなかった。




城内の量産型アンデットを次々と蹴散らしながらライナーは進む。


「城内はこれであらかた片付けたか。あとは城外か。最低でも周りは安全地帯にしとかねーとな…」


はっきり言って自分はバカだ。

それは自分自身も自覚している。

戦闘能力だけなら四天王最強なのは自負しているが、頭脳ではセリーの…いや、他の四天王のフィリアやフィリムと比べても足元にも及ばない。

ここで参謀として側近に選んだ、プロトウリンを討たせてしまえば確実に自分は不利になる。

そう考えたライナーが懸念材料を排除しようと城外へ出ようとした時だ。


「お待ち下さいっ!!ライナー様っ!!」


その声の主は、先程玉座の間に残れと自分が命令したプロトウリンだ。

別に命令無視を咎めるつもりはなかったが、用もないのにここへ来る事はありえない。

ライナーはプロトウリンの方に向き直る。


「…申し訳ございません。ライナー様の命令を聞かず…これが偉大なる最高幹部であるライナー様に対する不敬にあたる事は承知しています。…ですがあたしをこの場で処刑する前に、一つだけ参謀としての考察を言わせて下さい。お願いします」


プロトウリンはそう言って深く頭を下げた。


「ライナー様、この古代アルムスの他勢力の動きはデータ不足でまだ図りかねますが…」


プロトウリンはそう前置きをして続ける。


「他の四天王…具体的には今回の無差別攻撃を決行したセリー様の意図だけは、ほぼ確実にわかりました」


プロトウリンは言ったのだった。

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