第516話カティアとリオーナ
〜世界連合ミュールゼル、謁見の間〜
「ようこそカティアちゃん。あたしの惑星…世界連合ミュールゼルへ」
リオーナは自らの居城の謁見の間に、直接転移するとそう言った。
「…はい。お招きいただき…」
言いながらカティアの脳内は高速で思考していた。
嫌だ。
死ぬのも嫌だが拷問部屋なんかもっと嫌だ。
そんなの冗談じゃない。
考えろなんとかこの場を切り抜ける方向を…
だが、言い終わらないうちにリオーナは口を開く。
「可愛い頭を頑張って使ってるみたいだけど、全部筒抜けよ。ねえカティアちゃん?」
リオーナのその言葉でカティアの表情は絶望に変わる。
さらにリオーナのその雰囲気にも変化があった。
同時にカティアは背筋に強烈な悪寒を感じた。
それは先程の比ではなかった。
ラグアそっくり殺気…そしてラグア以上の冷酷な瞳の奥に潜む残虐性…
リーゼ?
一瞬カティアは思ったが、その直感で感じる凶悪性はリーゼよりも上だ。
これがラグアの姉…
カティアがそんな事を考えている中リオーナは続ける。
「さて、ここでカティアちゃんを殺すのは簡単だけどそれじゃ面白くないわね?どーしよっかな?やっぱり鋭治の耳に入れるのが一番いいかな?お友達に裏切られたら可愛そうだし?」
リオーナのその言葉でカティアの顔は真っ青を通り越して蒼白になる。
「おっお願いしますっ、やめてくださいっ!!」
カティアは懇願した。
「前世で鋭治はかつての友達にニュースのインタビューで『いつかやると思ってたんですよねー。今思うと気持ち悪いヤツでした』だったかな?って言ったヤツを鋭治がどうやって殺したのか聞きたい?」
「なんでもします。お願いします」
カティアはもう涙目である。
そこでリオーナはフッと笑うとカティアの頭に手をのせる。
「可愛い子…震えちゃって…やめてよね?あたしは鋭治と違ってサディストな趣味はないんだからさ?」
どこがよ…
カティアは内心で思った。
「あら心外。まあいいわ。虐めるのはこれぐらいにしてあげる。まあ、あたしの条件をカティアちゃんが呑むかどうかだけど?」
リオーナは続ける。
「鋭治の話を聞く限り鋭治は…ラグア・エルライド・イグロシアルは恐怖により組織を構築する事を選択した。あたしは力も時には使ったけれど、抱き込み利用する事でミュールゼルの頂点にまで登り詰めた」
何が言いたいのだろうか?
話題がそれたのは助かったがわからない…
カティアの脳内には疑問符が浮かぶ。
「カティアちゃん、しばらくあなたには動いたもらいたいわ。まずは鋭治の仲間の重要なメンバーを連れてきて。全員と話したいわ。あ、もちろん1人ずつね?」
鋭治の目的…
無数の屍の上の理想郷…
鋭治は強い子だし、頭も悪くない。
でもどこか抜けているとゆうか、危なかっしいところがある。
鋭治がいずれ戦うであろうイナゴ連中は皆化け物揃いだ。
素直に戦う必要なんかない。
全員あたしの手の平で踊ってもらおう。
大丈夫よ?鋭治。
今度こそお姉ちゃんが守るから…
あんたはそのまま自由にやるといいわ。
リオーナは思うのだった。




