第515話イグロシアル大使3
「…はい。わかりました」
「…はっ、ご命令とあらば」
一瞬の間が空いたが、カティアとシュドレは2人共了承した。
「ん?なんで自分達が選ばれたか疑問?それはねミュールゼルは転生者と召喚者の惑星だからよ。どう?あなた達が適任だと思うんだけど?」
リオーナのその言葉にカティアとシュドレの表情が変わる。
「…わかりました。謹んでお受けします」
カティアは一瞬だけ間があったがそう答えた。
カティアのリオーナに対する印象は最初と比べて若干変わりつつある。
それはリオーナの目を見ながら話しているうちに感じた事だ。
うまくは言えない…だが、見た目通りの綺麗な人ってだけじゃない感じがする。
カティアは約30年…ラグアがいなくなってから女王になってからの間に多くの人と会う機会があった。
その時の勘が言っている。
この女は絶対に裏がある。
カティアは思った。
その時だ。
「はい、そうゆう事でしたらこちらこそお願いします」
シュドレは言った。
あれはダメだ。
今まであの表情の人間は嫌って程見た。
そう。
自分の魅了の魔眼に抵抗できなかったものは、みんなあの表情になる。
カティアは思った。
その時だ。
ほんの一瞬だけカティアは背筋に冷たいものを感じた…
リオーナはこちらを見て薄く笑った。
まさか考えが読まれた!?
オリジンゴッドの読心か。
ダメだ。
終わった…
自分の頭の中がラグアにしれたらよくて処刑…
悪ければ地下の拷問部屋行きだ。
カティアは泣きそうになるのを必死に堪える。
だが、リオーナはすぐに視線をラグアに切り替えると言う。
「じゃー鋭治。詳しい話は後で決めるって事で今日はこのぐらいでいい?」
「ああ」
ラグアはそう短く返事をした。
バレてない?
さっきのは気のせいだったのだろうか?
だがカティアのそんな淡い希望は次のリオーナの言葉で粉々に打ち砕かれる。
「じゃー、カティアちゃんとシュドレ君はあとで個人的に話をしたいって言ったけど、そうね…今日はカティアちゃんがよさそうね?この後ガールズトークといきましょうか?」
リオーナは意味深な笑みを浮かべながら言った。
もはやこれはバレたと判断していいだろう。
「はっはい」
カティアはそう言うしかなかった。
「姉ちゃん、出かけるのか?」
「鋭治やシュドレ君がいたらガールズトークにならないでしょ?ちょっとカティアちゃんとミュールゼルに行ってくるわ。大丈夫よ。なんかカティアちゃんとは仲良くなれそうな気がするわ」
ラグアとリオーナのそんなやりとりの後、カティアはリオーナと共にミュールゼルへ転移…
もとい拉致されるのだった。




