閑話13魔王会議2
ここは、13魔王会議室。
13魔王内序列第4位、ミュラ・ゾフィスは再生した自らの右腕を見つめながら、爆発の瞬間の事を思い出していた。
あの瞬間、とっさに血の帝を発動させ、防壁と、超速再生を発動させたが、それでも、片腕を吹き飛ばされた。
正直、ジオの事を守っている余裕などなかった。
あの力はヤバイ。
ミュラの帝級スキル、血の帝は、血液の完全掌握に加え、これまで取り込んだ血液の宿主が持っていた、能力を帝級まで引き上げて、使う事ができる。
だが、その帝級まで引き上げた能力の中にもジオを守りながら、あの爆発から逃れる方法はなかった。
実際あの技は、自爆技で、ラグア自身もリスクがあるのだが、そのことはミュラは知らない。
ミュラが、そんな事を思っている間に魔王達が、集まったらしい。
参加者は全部で10人、自分の脇には、ミュンが立っている。
その他、13魔王の面々が自分を合わせて9人。
部屋には重くるしい雰囲気が流れている。
何しろ、13魔王内序列第5位ジオ・デストロイアが死んだのだ。
この非常事態にもかかわらず、欠席の上位3魔王には、正直怒りすら湧くが、彼らにとっては、戯言だろうし、彼らの怒りを買おうものなら、神魔大戦の再来になる。
あんな地獄二度とごめんだ。
正直、今の自分でも、あの大戦を生き残れる自信はない。
大勢の仲間が死んだあの大戦。
自分達は、運が良かっただけなのだ。
誰もが口を開かず、静まり返った会議室に立ち上がるものが1人。
13魔王内序列第6位、ミグ・ヒピーである。
「ミグっどこへ行く?まだ会議は始まったばかりだ。これからの対応も考えねばならん。」
ミュラの言葉でミグはぶち切れた。
「てめえら、それでも魔王かよ?ジオっち殺られて黙ってろって言うのかよ?ミュラっちもミュラっちだよ?ジオっち殺られて黙ってダラダラ会議とかありえないよ?あたしは1人でも行くよ?ミュラっち長生きし過ぎて牙抜けちゃったの?皆殺しだ。ラグアとか言うジオっち殺したクソ野郎も、エルライド王国、諸共消す。」
こんな彼女を見るのは、神魔大戦以来だ。
ジオがいればまだ、ミグをなだめてくれただろうが、他の魔王にはそれはできない。
もっとも現在、8つの帝級スキルを全開にして、凶悪極まりないオーラを放っているミグに、口を聞けるのは、自分ぐらいなのだが。
ミュンでさえ、神魔大戦以来のミグの雰囲気に圧倒されている。
「待てっ1人で行かせる訳にはいかない。そもそもお前が全力で戦ったらどうなるかわかっているのか?」
ミグの力は第二世代の中でも別格だ。
下手をしたら、第2の神魔大戦を誘発しかねない。
そんな事を絶対に許す訳にはいかない。
「それでもあたしは行くよ?ジオっちの敵はあたしが討つ。それが友達として、ジオっちに最後にできる弔いだよ。」
ミグはそう言うと会議室に背を向ける。
その時会議室の扉がいきなり開く。
入ってきた、金髪の青年のオーラは、帝級スキルを全開にしたミグをも凌ぐ。
下位魔王の中には、泡を吹いて倒れているものもいる。
「ロロ様!?」
ミグは呟いた。
今回から閑話に入ります。
ちょっと長めです。