第513話イグロシアル大使
「「失礼します」」
玉座の間に男女の声が響き、カティアとシュドレが入ってくる。
「よお、わざわざ呼びつけて悪かったな?今日呼んだのはお前ら2人に仕事を任せたいからだ」
俺のその言葉に対し2人は若干緊張した表情になる。
俺は続ける。
「今回の仕事はお前ら転生者にしかできない…とまでは言わないが、むいているはずだ。まずは2人に紹介したいと思う。姉ちゃん」
「はじめまして。あたしはリオーナ・ミュールゼル。世界連合ミュールゼルの皇帝にして、あなた達と同じ日本からの転生者でもあるわ。ちなみに前世の名前は三島莉緒那っていうのだけど、正確にはそこにいる三島鋭治…いえ、ラグア・エルライド・イグロシアルの前世の姉にあたるわ」
俺に促され姉ちゃんはそう名乗ったのだった。
〜
綺麗な人…
カティアのリオーナに対する第一印象はそれだった。
アイドル?芸能人?もはやそんなものとは比べるのすら失礼だ。
絶世の美女…
前世でも転生してからもここまでの完璧なルックスは見た事がない。
女の自分でも見惚れる程の美の結晶がそこにはいた。
というかラグアの前世の姉って言った?
こんな綺麗な人が?
嘘でしょ!?
しかもラグア特有のあの殺気も感じないし…
そしてはじめて知ったラグアの本名…
三島鋭治…
あれは自分が死ぬ10年以上前だっただろうか…
当時、1000人殺しのシリアルキラーなんて言われて世間で騒がれていた国際指名手配犯…
なんで逮捕されたかは覚えてないが、当時のニュースはその話一色だったのは覚えてる。
カティアはそんな事を考えるのだった。
〜
見たこともないような完璧な美女…
シュドレの脳内はフリーズした。
カティアと違って異性であるシュドレからすれば、当然と言えば当然だが、リオーナのルックスはそれだけ万人を惹きつける魅力をもっていた。
しかもラグアやエリローズと違い、美形のイメージを全て打ち消すかの様な殺気や凶悪性もない為、シュドレがリオーナに見惚れるのは仕方のない事だった。
だが続くリオーナの言葉でシュドレは思考は強制的に復活する。
ラグアの前世の姉だと?
いろいろ理解が追いつかない。
カティアと違ってシュドレが三島鋭治の名前に反応しなかったのは、1000人殺しのシリアルキラー三島鋭治が残虐の限りを尽くしていた頃、シュドレはまだカティアよりもさらに子供であった為そこまで覚えてはいなかった。
〜
「はい。私はカティア・ドーラス・イグロシアルです。ラグア様の元で星王をやらせていただいています。よろしくお願いします」
「はっ、リオーナ様。お初にお目にかかります。俺はシュドレ・イロードと申します。ラグア様の配下で特別幹部の席につかせていただいています」
カティアとシュドレはリオーナの前に跪くとそう名乗ったのだった。




