第511話宙喰
突如、俺に力が戻る。
それと同時に神格エネルギーが流れこんでくる。
ペテルワッカスの配下2人分ってとこだな。
これで52倍か…
まあ、誤差だな…
アンチステータスゾーンが切れて、俺の神格エネルギーが増えたって事は、つまりペテルワッカスが死んだって事だ。
俺は姉ちゃんに目を向ける。
まあ、当然と言うべきか姉ちゃんの神格エネルギーは増加している。
具体的には神格エネルギーだけならジジイや現代ミグクラスにまで…
「ふふふっ、ありがと鋭治。おかげで邪魔者を始末できたわ」
姉ちゃんは言った。
「姉ちゃんの頼みなら構わねーよ。つーか、ここからは俺の目的だな?悪いが姉ちゃん、それからエリス、俺の森羅万象に入っててくれよ。はじめてやるから何があるかわからんしな?」
「そうね。さすがに宇宙といっしょに喰われたらたまんないしね…」
「はっ」
姉ちゃんとエリスがそれぞれそう返事をするのを確認してから、俺は森羅万象を発動する。
〜
「さて、なんかずいぶん久しぶりに1人になった気がするが気のせいか?」
俺は誰もいない悪趣味な神界でそう呟いた。
ミュールゼルを森羅万象に突っ込んだ時にセラとフィアンを…そしてついさっき、姉ちゃんとエリスを森羅万象に入れた。
これまでもプレイルームや私室、玉座の間なんかでは1人になる事もあった。
たが、それは近くに配下や仲間がいたし、逆にそうでない状況…
具体的には俺が危険と判断した状況の時はだいたい目の前にはいつもそれなりの強敵がいた。
「なんかはじめて転生した頃をみたいだな…」
俺はそこまで言いかけてふと思い至る。
「いや、あの時はお前がいたか…相棒?」
俺はここにはいないヤツの事を思い出しながら呟いた。
「まあ、いつまでもこうしててもしゃーないか」
俺は最後にそう言うと宙喰を発動させようと意識する。
「宙喰」
俺がそう言った瞬間、まず俺を中心に半径1メートルぐらいに真っ黒な球体が構築される。
そして次の瞬間、球体は神界にあるもの(ほとんどが悪趣味なものだが)を次々と吸い込み吸収しはじめた。
その吸い込む力はだんだんと強くなっていく…
〜
どれぐらい時間が経っただろうか?
たぶんまだ数分だろうが、真っ黒な球体は神界に吸い込むものがなくなると今度は空間自体を吸い込みはじめる…
神界は球体を中心にどんどん縮小していき、ついには消えてしまった。
更に神界を吸収しても止まらない球体は今度は宇宙本体を吸収しはじめる…
〜
〜約3時間後〜
うん、いつか見た光景だ。
そうこの表現しがたい感じは、まるでエリローズに消滅させられた宇宙の様な…
エリローズの概念による消滅よりはるかに早いのは、アラウザルゴッドの能力だからだろうか?
そしてそれに伴って俺の神格エネルギー量も相当量上がっている。
実に初期オリジンゴッドの152倍…
まあ、獲得概念とかの確認はあとでいいか。
まずは拠点に帰るとしよう。
俺はそんな事を思いながら拠点宇宙に向けて転移するのだった。




