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第510話白天14


「くくくっ、ちょっとヒヤッとしたぞ?けど、どこまでも雑魚は雑魚だな?」


俺は言った。


ペテルワッカスは必死に俺の触手の拘束を解こうとしているが、ビクともしない。

当然だ。

ライオン程度の力で、王級クラスの拘束が解けるはずがない。


「クソッ!!ふざけんなっ!!いくら理不尽なイナゴだからって理不尽すぎるだろっ!!」


ペテルワッカスはそう毒づいた。

配下の2人もペテルワッカスに絡みつく俺の拘束を必死に外そうとするが、アンチステータスゾーンで一般人クラスにまで弱体化している為当然無理だ。


「おい、ゴミ共。姉ちゃんの邪魔だろ?死ねよ」


俺はその言葉の直後、俺の触手が高速で背中から伸び、ペテルワッカスの配下2人の首を跳ねる。

なくなった首からは噴水の様に血液が噴出している…


神格エネルギーの移動はないか。

まあ、ペテルワッカスのアンチステータスゾーンが発動しているうちは当たり前か。

俺はそんな事を考える。


「姉ちゃん、終わったぞ?後は好きに殺れよ?」


俺は言った。


俺の言葉に姉ちゃんはゆっくり前に進み出る。


「…リオーナ、何故だ?何故裏切った?俺はお前を仲間として迎えようと…」


ペテルワッカスはそう言葉を紡ぐ。

ペテルワッカスの言葉はもちろん口からでまかせだ。

リオーナを味方につけ、白天を説得させてこの場を乗り切る。

そうゆう算段の元に生まれた完全な打算である。

だが、そんなペテルワッカスの唯一の希望を打ち砕くかの様に、言い終わらないうちにリオーナは答える。


「悪いわねペテルワッカス。一つだけ言うなら危険分子は排除する。それだけよ?」


リオーナのその言葉ペテルワッカスは悟った…悟ってしまった。

はじめから全て見透かされていた事に…


「まあ、あんたには感謝してもしきれないわ。スキルにステータス…この世界はどれも素晴らしいわ。特に不老のスキルは地球にいた頃に欲しかったわ。見た目だけはお金の力でどうにかなっても、頭の中が老婆じゃどうしようもないわ。あの頃に…あの頃にこんな力があったらあんなガキなんかに…」


「姉ちゃん?いろいろ脱線してるぞ?」


姉ちゃんの話がどこかに行きそうになったところで俺は口を出した。


「そうね。絞殺はあんまり得意じゃないけれどこの状態じゃ仕方ないわね」


姉ちゃんはそう言いながらペテルワッカスの首に手を回して締め上げる。


俺はそんな姉ちゃんのサポートに回る。

ペテルワッカスが抵抗しようとするたびに少し拘束の力を強めるのだ。

それだけで抵抗は止む。



クソッ…

何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ…

こんなはずじゃなかった。

そもそも戦うと言う選択肢も妥協案だったが、それでもそれなりに作戦もたて、迎え討ったはずだった。

結果はこの様…

実質白天1人に手も足も出ずに全滅…


「畜生…」


ペテルワッカスはそう最後に呟くと、その意識は永遠に闇の中へと消えるのだった。

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