第509話白天13
俺の無数の触手がペテルワッカスに襲いかかる。
もちろんダメージを与えるつもりはない。
コイツの神格エネルギーは姉ちゃんにやる予定だしな?
俺は思った。
俺の光の速さを遥かに超えた触手は、一瞬でペテルワッカスをがんじがらめにする。
ペテルワッカスは全く反応すらできていない。
「…なり立てとは言えさすがはイナゴだな」
ペテルワッカスは俺を見据えながらそう言った。
「「ペテルワッカス様っ!?」」
ペテルワッカスのあんまりにあんまりな状況にペテルワッカスの配下2人は叫び、俺の触手をなんとかしようと神格エネルギーを込めて、ペテルワッカスをがんじがらめにしている俺の触手に攻撃をはじめるが、俺の触手は全くの無傷だ。
「バカか?お前ら如きじゃ相手にすらならねーよ。つーか、ペテルワッカスとか言うお前らの主の全力でも、俺にまともにダメージが入るかどうかは微妙だぞ?仮に渾身の一撃が、油断に油断を重ねて完全に無防備な俺に入ったとしてな?」
俺の言葉にペテルワッカスの配下2人の表情は絶望に染まる。
だが、当のペテルワッカスはというと…
「クククッ…クハハハッ…」
突然笑い出した。
「あ?気が狂ったか?ならその狂ったまま死ねよ。姉ちゃん?」
俺がそう姉ちゃんにトドメを促し、姉ちゃんが動きだそうとした時だ。
「見事…ここまで来た事も、そして俺なんかじゃ手も足もでないその実力も全て称賛に値する」
ペテルワッカスの言葉とその雰囲気に、俺は何か嫌なものを感じとり姉ちゃんを止めようとするが、その前に姉ちゃんは自分から止まる。
どうやら姉ちゃんも気づいたらしい。
さすが姉ちゃんだ。
そして俺の予想が正しければおそらくアレがくる。
この絶望的な程の神格エネルギーの差をひっくり返す事ができる唯一の手段…
つまり…
「ならばこちらも相応の敬意をもってお相手しよう。白天よ。俺はスキルのない世界から来た外来種を取り入れ続け、それを学ぶ事によりこの技を次の段階へと昇華させる事に成功した。最高神同士の話では貴様はこの技を破ったと聞く…だが、今回も上手くいくとは思うなよ?」
くる。
しかもペテルワッカスの口ぶりだと、おそらくステータスがなくなってもかなりの戦闘力を維持できる自信があるのだろう。
俺は身構える。
「アンチステータスゾーンっ!!」
ペテルワッカスは叫んだ。
ペテルワッカスのその言葉で俺の力が急速に抜ける…
「ん?」
その言葉は俺の口から出たものだ。
ジジイのアンチステータスゾーンと比べるとなんかいろいろとおかしい…
確かに相当弱体化した事に変わりはないが、千手観音モードは解除されずペテルワッカスに絡みついたままだ。
しかもジジイのアンチステータスゾーンより弱体化の度合いも少ない気がする。
具体的にはたぶんアルムスではじめて魔王になった頃程度の力は残っていると思う。
「バカなっ!?キャパオーバーだとっ!?」
そんな中ペテルワッカスも驚愕の表情を浮かべながら言ったのだった。




