第508話白天12
轟音…
それはもはや扉を蹴破るなんてレベルではない音だった。
最高神ペテルワッカスが創造した建造物の扉だとは言え、アラウザルゴッドの力で全力じゃないにしろ蹴破ればどうゆう事になるか…
それを如実に語っていた。
案の定、蹴られた扉はまるで爆破されたかのように破片を四方八方に撒き散らし、その奥にいたペテルワッカス達の方にも飛んでいくが…
「発動、神級スキル、確率の神」
ペテルワッカスの近くにいた男がそう言った瞬間、全ての破片は自らペテルワッカス達を避けて飛んでいく。
「確かアレグドだったか?おもしれースキルだな。あーっと………あ、なんか俺もあったわ。発動、確率の神」
俺がそう言った瞬間、自らペテルワッカス達を避けていた扉の破片は空中で不自然に軌道を変えてペテルワッカス達に向かっていく。
「なっ!?」
アレグドの表情は驚愕に変わるが、せめて主に当たらないようにアレグドが盾となりペテルワッカスに飛んでいった破片をその身に受ける。
神格エネルギーどころか、言うなればただの扉の破片の為、アレグドにダメージはない。
どうしてこうなったか?
アレグドに話しかけながら自分のステータスをザッピングしていた俺は、神級スキル、確率の神を見つけてしまったのだ。
確率の神は、前にエリローズと融合した時に、大量に獲得した神級スキルの一つだ。
そもそもタンスと言うかステータスの肥やしになっていたのだが…
そんな感じで前にエリローズと融合してから、ステータスの肥やしと化している神級スキルは相当数ある…と言うかほとんどそれだな。
俺は思った。
「エリローズと融合した時のスキルは、いちいちチェックしてなかったしな。今度暇な時チェックするか。でもザッピングした中に、黄泉の神とかはないみたいだから優先度は低いんだよな。つーか、俺最近けっこう忙しいし?」
俺は呟いた。
やることは山積みなのだ。
俺の生きやすい世界を…
無数の屍の上に俺の理想郷を作る為…
そのためには俺を脅かす可能性のあるヤツら…つまりはイナゴ共に対抗する力が必要だ。
まあ、敵を前にしてこんな事を考えているのも相手が雑魚だからできる事だがな?
俺は思った。
「よお?話すのははじめてだな?ペテルワッカスだったか?まあとりあえず…」
俺は言いながら千手観音モードを展開する。
「死ねよ」
その言葉と共に俺の無数の触手が一斉に、ペテルワッカスへ襲いかかるのだった。




