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第507話白天11


時は少し遡る。


〜ペテルワッカス居城、最上階、謁見の間〜


「…どう思う?」


ペテルワッカスはアレグドとゼルファーに向かってそう言った。

どうだ?とは聞かないのはペテルワッカス自身も神の千里眼により、アレグドとゼルファーと同じものを見ているからだ。


「…これではもちません」


最初にペテルワッカスにそう言ったのはゼルファーだ。

だがペテルワッカスの求めている答えはそういう事ではなかった。

そもそも、もたないのははじめからわかっている。


「1時間…おそらくそれが、ここにヤツらが到達する頃の中核のリンクが切れる残り時間かと…」


アレグドは言った。

今度は求めている答えだったが、本当にペテルワッカスが聞きたかったのはその先だ。


「1時間もたせられると思うか?」


ペテルワッカスは言った。


実際のところ仮に1時間もたせて神界の中核のリンクの切断に成功したところで、すぐさまラグアに追跡されて無駄なのだが、ラグアが意図的にリオーナの発言を隠した為、ペテルワッカスはそれを神の千里眼で知る事はできなかった。


「………」


無言…

アレグドのそれは本来、主であるペテルワッカスに対し失礼極まりない事だ。


だがアレグドは断言することができなかった。

結論、わからないのだ。

おそらく自分とゼルファーはリオーナと白天が連れている女の相手ぐらいはできる。

だが、それを許してしまえば白天とペテルワッカス様を一騎討ちさせる事になる。

いくらなんでもそれは無理だ。

全員で束になっても、勝てる保証のない化け物に対して戦力を分散させる?

愚か…いやもはやそれは自殺志願者のする事だ。

アレグドはそう考えると、長い沈黙の後に言う。


「…ペテルワッカス様、なんとか自分がリオーナと白天の配下を抑えます。ゼルファーっ!!死んでもペテルワッカス様をお守りしろっ!!」


「はっ!!」


気合充分にゼルファーはそう返事をした。


そう。

こうするしか方法はない。

お互いの取り巻きの力は大して変わらないが、トップの力に差がありすぎる。

気休めでしかないが、少しでも生存率をあげるには、ペテルワッカス様にゼルファーをつけるべき…

アレグドはそう判断した。


「時間がない。アレグドの意見を採用する。それに…」


ペテルワッカスはそう言いながら謁見の間の扉を見つめる。

盛大な破壊音と共に扉が吹き飛んだのは、ほぼ同時であった。

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