第503話白天7
「それに…あたしがペテルワッカスなんかより、前世の可愛い弟の味方をするのに理由なんている?」
姉ちゃんのその言葉にソフィーの顔は驚愕に染まる。
「なっ!?弟っ!?白天…いや、イナゴがだとっ!?」
ここで俺も会話に割り込む。
「ああ、俺も問答無用で宇宙を喰っちまう前に姉ちゃんを見つけられたのは運が良かった。じゃー、話は終わりだ。死ね」
俺の千手観音モードによる無数の触手が、ソフィーを八つ裂きにすべく迫る。
「まっ待て。白天…いやっ三島鋭治っ!!」
「何?」
ピタリ。
俺の神格エネルギーを込めた無数の触手がソフィーを引き裂く寸前俺は攻撃を止める。
「あ?お前も転生者か?」
俺は言ったのだった。
〜
オリジンゴッド、ソフィーは転生者である。
だが、それは現代日本からの転生者でも無ければ、ましてや地球からの転生者ですらない。
なら何故、ラグアの…三島鋭治の名前を知る事ができたのか…
それはリオーナがペテルワッカスの配下になった頃…ソフィーがリオーナを…そしてその前世の母星である地球について入念に調べたからだ。
それはただの興味だった。
転生から僅かな時間でオリジンゴッドへと至った存在に対しての…
リオーナの前世の名が三島莉緒那だと言う事もその時知った。
あとは白天がリオーナの弟らしいということ。
そしてリオーナが白天を鋭治と呼んでいた事を踏まえ、ソフィーは三島鋭治の名を知る事ができたのだ。
まさか興味本位で調べたリオーナと地球の情報が、こんなところで役に立つとは思わなかったが、謁見の間を出た時には最後の手段として考えてはいた。
だからこそソフィーは時間を稼ぐと名乗り出たのだ。
ソフィーは言う。
「白天様…いえ、三島鋭治様。話を聞いて下さりありがとうございます。はい、私も転生者です」
一応嘘はついていない。
ペテルワッカス様の話は信じられないが、リオーナの能力については半分ぐらいは信じている。
今までも何度か違和感を感じる節はあった。
それにリオーナのあのこちらを見透かした様な態度も、だとすれば説明はつく。
リオーナの前で嘘をつくのは愚策…
それがソフィーの判断だった。
「…ふうん」
そう言ったリオーナからは次の言葉はない。
第一関門は突破…
ソフィーは表情には出さずに内心でほくそ笑むのだった。




