第501話白天5
城の内部に侵入するとすぐに、整列した上級神から下級神クラスの大量の神々が目に入る。
「まあ、さすがにここまできたら覚悟決めるわな?」
俺は言った。
俺のその言葉を戦闘開始の合図と受け取ったのか、神々は一斉に俺達に襲いかかる。
「エリス」
「はっ」
俺は短くエリスの名を呼んだ。
エリスもそれだけで俺が何を言いたいのかを判断し、エリスは神々を次々と引き裂く。
姉ちゃんとの付き合いも長いが、エリスとの付き合いは50年以上だ。
時間だけなら姉ちゃんより長い。
短いやりとりでもこのぐらいの事は伝わる。
神々達はエリスに殺到する。
狙い通りだ。
神々達が集まったとこで俺は動く。
「発動、森羅万象」
俺がそう言うと同時に神々達は消える。
この森羅万象の先はジジイの軍勢が入っている神級保管庫だ。
「…何やってるの?」
「いや、後でオリジンゴッド未満の配下に食わせようと思ってさ?」
姉ちゃんの問いに俺は答えた。
森羅万象の効果自体は先程ミュールゼルにかけたので姉ちゃんは知っている。
「…そーいえばあんたって昔っからけっこうセコかったわね…」
姉ちゃんは若干呆れている。
そんな事もありながら俺達はさらに進む。
〜
ラグア達が神々をあっさり処理した頃…
〜ペテルワッカス居城、最上階、謁見の間〜
「冗談じゃねー!!まともに戦闘にすらならなかったぞ!?」
神の千里眼でラグア達の様子を見ていたペテルワッカスは叫んだ。
「ペテルワッカス様…これはもはや戦うしか…」
ペテルワッカス配下、序列1位アレグドは言った。
「無理に決まってるだろ?相手はイナゴだっ!!今とりあえず全力で神界とのリンクを切ってるけどまだしばらく時間はかかる。間に合うわけないだろ!!」
ペテルワッカスは再び叫んだ。
「…ペテルワッカス様、少しなら私が時間を稼ぎます。具体的にはどのぐらいの時間が必要でしょうか?」
そう言ったのはペテルワッカス配下、序列2位のソフィーと言うオリジンゴッドだった。
「完全に切るなら3日…今も進めてるからあと約69時間ってとこだ」
「………」
ペテルワッカスの言葉にソフィーは何も言わない。
どう頑張っても69時間も時間を稼ぐのは不可能だ。
「…わかってる。そんな無理は言わない。あと3時間…それで中核だけならリンクは切れるから、宇宙が被害を受けても下級神程度の力は残せる」
「…わかりました。できるだけ努力します」
ソフィーはそう言い残して謁見の間を出て行った。
「頼んだぞソフィー。俺が生きていればなんとか再起はできる」
ペテルワッカスはソフィーの背中に向けて言ったのだった。




