第496話姉の影10
「あーあ、今ならあんたでもいけると思ったのに…」
「甘えよ。ガキの頃から40年近い付き合いだぞ?」
俺と姉ちゃんはそんなやりとりをする。
こうして今回のこの宇宙との最高神の戦いにリオーナが参戦する事が決まった。
〜
時は少し遡る。
ラグアがリオーナの前で抑えていた力を解放した頃…
〜ミュールゼルのある宇宙の神界〜
「クソっ…理不尽なイナゴだと?畜生っ!!なんでだよっ!?せめて…せめて後1万年あれば…クソっ!!」
ペテルワッカスはそう毒づいた。
〜
ペテルワッカスにはある野望があった。
それはアラウザルゴッド…つまり理不尽なイナゴに対抗する勢力を作り上げること…
彼が最初に動き出したのは今から約一兆年前の事だ。
彼は別の宇宙の魂に目をつけた。
別の宇宙の魂に、前世の記憶と適当なスキルをつけてこの宇宙に転生または召喚する。
事実、心血を注いで育てたとはいえ、試験的に召喚、転生させた三人は、全員オリジンゴッドになるまでに至った。
彼らは今では自分の側近中の側近である。
彼はその結果に満足した。
ならば…
もっと大々的にやればより効率よくオリジンゴッドを生み出す事ができるのではなかろうか?
そう考えた彼は今から約一万年前、召喚者と転生者の惑星ミュールゼルを作り出した。
その後、リオーナと言う存在がオリジンゴッドに至ったのはつい最近だ。
その女が転生してから僅か十数年でオリジンゴッドに至った事には気になりはしたが、早い分には問題ないだろうと自己完結した。
彼はすぐに彼女に接触をはかった。
直接話した感想はなんとなく嫌な感じがした。
読心を使ってみて原因はすぐにわかった。
イナゴだ…
リオーナの考え方は理不尽なイナゴ共の考え方に近いのだ。
その後の話し合いで彼女はこちらの配下にくだる事には了承した。
気に入らない女だが、同時に貴重なサンプルでもある。
今は殺すわけにはいかない。
彼はそう結論付けた。
それから数年後…
彼は今度はミュールゼルの様な惑星を大量に作り出す準備をはじめる。
惑星の創造…そして創造神達の配備も完了した。
後は大量の魂を別の宇宙から集めて、召喚、転生させる。
今回のこれが成功したら、あのリオーナとかいう気に入らない女は殺して神格エネルギーに変えてしまおう。
なんとなく彼女は生かしておくとマズイ気がする。
彼は思った。
〜
今回の事態はそんな矢先の出来事だ。
「どうする?オリジンゴッドだとしたら化け物だが、アラウザルゴッドにしては小さい神格エネルギーから察するに、おそらくは成り立てのアラウザルゴッド…確か最高神達の間じゃ白天とか呼ばれだしたヤツだ。現在地は…ミュールゼルか。たぶんリオーナはよくて戦死、最悪寝返るだろう。あー!!クソっ!!今すぐ起源神達を呼べっ!!ここの守りを固めろっ!!」
ペテルワッカスは近くにいた上級神にがなりたてるのだった。




