第45話帝級スキルの力
ジオの実力は認めよう、コイツを殺すには、俺もある程度、奥の手を切らなくてはならないだろう。
まずは、分裂。
帝級スキル、不滅の帝の力を使えば、こんな事も可能だ。
ステータスは変わらないが、HPは、分裂した数に分配されるからその分少なくなる。
とりあえず、王級クラスに一撃はもつぐらいで俺は6体に分裂する。
これだけで、6対4で前線の戦況は、ひっくり返る。
更に、帝級スキル、幻惑の帝の力で更に1000体の分身を作り出す。
こちらは、実体はないが、当たればダメージはないが、ふつうに痛い。
帝級スキル、幻惑の帝の幻惑魔法は、痛覚にまで、影響を及ぼす。
本当は、帝級スキル、土星帝の力を使えば、こんなヤツらどうにでもなるが、他の第二世代の魔王の事を考えると、これは、あまり見せたくはない。
小型の超新星爆発なんか撃ったら、星が半壊して、いやでもこのスキルの凶悪さに気付く。
前線の憤怒が俺の触手の一撃で粉砕される。
後ろで、様子を伺っていた暴食も別の分裂体の一撃で八つ裂きになる。
ちなみに、分裂した6体は、全てが本体の為、優劣はない。
一体一体が、俺である。
俺の思考は1つしかないので、現実でウ○二ング・イ○ブンをしているような、感覚だ。
ちなみに、幻惑の帝で作った分身の方は、俺の普段の攻撃パターンから学習した、完全なオートである。
ジオが、残りの三体悪魔を引き連れて、突っ込んでくる。
戦況が傾いたため、高みの見物をしていられなくなったのだろう。
「強いとは、思ってたけど、ここまでとはな。もし、神魔大戦前にお前が生まれていたらと思うと、恐ろしいな。」
ジオが、俺の幻惑の帝で作り出した、分身と激突するがすり抜ける。
死角から、俺の分裂体が攻撃するが、返す拳で受け止める。
HPが100億程度でも、直接攻撃を受けなければ、ダメージは微々たるものだ。
それでも、数億のダメージはあるのだが。
しかし、そんなもの、帝級スキル、不滅の帝の前では、なんの意味もなさない。
一撃で殺さない限り、俺は何度でも復活するし、仮に一撃で殺したとしても、その場に、俺の体の一部でも残っていれば復活できるし、エルライド王国に置いてきた、俺の触手の切れ端もある。
つまり、俺を殺すには、6体全ての分裂体を一片のカケラを残さず消滅させると同時に、エルライド王国にある、俺の触手の切れ端も破壊する。
何?この無理ゲー。
これが、RPGでラスボスがこれだったら、コントローラを床に叩きつける自信がある。
もっとも、これは現実で、無理ゲーの張本人のチート魔王は俺なのだが。
にしても、神託でみえるジオのHPは、全く減っていない。
おそらく控えていた、三体の悪魔の効果だろう。
残った悪魔、嫉妬と色欲も三体を守るように戦っている。
ジオが減った戦力を補充しない事から、おそらくこのスキルは、連発できないか、何か条件があるのだろう。
そりゃそうだ。
こんなオールラウンダーみたいな、パーティ召喚スキル、何度も使われてたまるか。
俺は、悪魔5体の方に分裂体を三体向かわせる。
これで悪魔がやられるのも、時間の問題だろう。
〜〜〜
1秒間に数千撃にも及ぶ攻防が続く。
俺の触手が、嫉妬とその後ろに守られていた一体を八つ裂きにする。
「マズイな、怠惰がやられたとなると、ダメージ無効が消える。」
おっ、いきなり当たり引いたらしい。
激突の余波で、ジオのHPが減りはじめたが、一瞬で回復する。
おそらく、残り二体のサポートは、HPの瞬間回復が一体と、ステータスの底上げが一体、どっちを殺しても均衡は崩れる。
おっ、また一体殺した。
アレは確か、色欲か。
とにかくこれで残りは、サポート特化二体。
俺の予想は正しかったようで、サポート二体は、戦闘力は、最初の四体より大きく劣るようで、すんなり殺される。
「ちっここまでか。」
ジオがつぶやいた時、青空が広がる上空から一体の吸血鬼が舞い降りる。
「魔王ラグア、久しぶりだな。おもしろそうだから妾も混ぜていただけるかな?」
うわっあとちょっとだったのに、増援きやがった。
なんだよ、このタイミング。
ヒーローかよ?
あっ、完全に俺悪役だったわ。
俺は、そんなふざけた事を考えながら、タイミング悪く登場した、魔王、ミュラ・ゾフィスに意識を向ける。
ほぼ、はじめてまともな戦闘回書いてます。
お見苦しいかも知れませんが、しばらくお付き合い下さい。




