第490話姉の影4
ギルドに入って10分で俺達は素材の換金と身分証の発行を済ませた。
なぜこんなに早いかと言うと、受付に並んでた他のヤツらを全てセラとフィアンがぶっ飛ばしたからだ。
「おっお客様。あ…あまりそう言った行為は…」
喧嘩は日常茶飯事…だがそのあんまりにあんまりな光景はいかに、荒くれ者の冒険者ギルドの受付嬢と言えど萎縮させるには充分だった。
「あ?もう方針決まったからちんたらやるのはやめだ。おい、どうやったら今日中にSランクになれる?」
「あの…大変言いにくいのですが…お連れのお二方は2人ともAランク上位の実力者かと思いますが…」
ほう?王級下位でAランク上位か。
こりゃSも楽勝だな。
「俺には無理だと?悪いがこの中じゃ…」
俺がそう言いかけた時だ。
「さっきから聞いてりゃいい気になりやがっ…」
俺に1人の男が襲い掛かってくるが、男の言葉は最後まで続かない。
目にも止まらぬ速さで俺の触手が動き、男は一瞬で肉片に変わってしまったからだ。
「うわー!!」
「きゃー!!」
ギルドのあちこちから悲鳴が巻き起こる。
その時だ。
「ずいぶん儂のギルドで好き勝手にやってくれた様だな?貴様死ぬ覚悟はできておろうな?」
「ギルドマスター!?」
受付嬢の後ろから1人の老人が姿を現した。
ギルド内は突然現れたヒーローの登場に歓声に包まれる。
「うるせージジイだな。だからどうやったらSランクになれるんだよ?」
「フォフォっ、万が一儂に勝てばAランクにはしてやれるわい。ついてこい。ここじゃ、まずい」
俺はジジイの後に続く。
〜
やってきたのは、闘技場的な場所だ。
そこら彼処からジジイを応援する声が聞こえてくる。
ジジイは言う。
「貴様、あれだけの事をして死ぬ覚悟はできておろうな?」
「くくくっ、帝級下位如きが俺を殺す?お前如き本体を使うまでもねえ。発動、帝級スキル、不滅の帝、分裂」
俺がそう言った瞬間、俺は分裂する。
そして分体の方は特に力も殺気も抑えてはいない。
つまり…
「ばっ…化け物…」
ジジイは俺の分体に腰を抜かした。
「じゃあな?もうちょっと賢ければ長生きできたかもな?」
俺の目にも止まらぬ分体による触手の一撃は、ジジイを肉片と臓物と血溜まりの3つに分けた。
シン…
あれだけ騒がしかった闘技場が水を打った様に静かになった。
俺は軽く跳躍をして先程の受付嬢の前に立つ。
いきなりの俺のその行為に受付嬢は腰を抜かして失禁してしまった。
「なあ?嬢ちゃんよ?これでAランクだよな?次は姉ちゃんに会う為のSランクだが、どうやるんだ?」
受付嬢は気絶した。




