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第486話姉の影


「は?姉ちゃん!?」


俺は驚愕の表情を浮かべたまま固まった。


「謀略の女神…極美の女帝…様々な異名を持つ、惑星ミュールゼルの現支配者で、ラグアさんの魂に一番近い…ラグアさん?」


俺はおそらくさっきからずっと固まっているのだろう。


間違いない。

あの顔を見間違えるはずがない。

美容整形に数億を費やし、実年齢50歳近いのにも関わらず、見た目年齢が永遠に20歳で止まっている、文字通りアイドルも裸足で逃げ出す様な絶世の美女…

もちろんその金は全て、姉ちゃんが殺した資産家達の莫大な遺産から出ている。


そしてその作り出した完璧な美貌を武器に、狡猾さと冷酷さを合わせ持つ悪魔の頭脳で次のカモを探す。

言うなれば最悪の結婚詐欺師…

それが俺の姉だ。


今思えばリーゼは俺より、姉ちゃんに似ているかも知れない。

見た目どうこうではなく…

狡猾さと冷酷さ?

上手く表現できないが、全て完全に計算された行動って言えばいいのか?


そういえば姉ちゃんも…もっと言うなら兄ちゃんも俺には最後まで優しかったな。

姉ちゃんはその莫大な資産を使って、捕まった俺に有能な弁護団をつけてくれた。

某ヤクザの幹部の兄ちゃんは、逃亡生活中に相当世話になった。


逆にあの2人は何故だか知らんが、昔から仲悪いんだよな…

まあ今はどうでもいいか。


どうでもいい事を考えたおかげか、硬直から回復した俺は言う。


「大丈夫だ。続けろウルドナート」


「じゃー、続けるよ?魂の形自体はラグアさんに近かった。ただ彼女…今はリオーナ・ミュールゼルって名乗ってるみたいだけど、彼女もラグアさんも神級クラス…魂自体が相当変質してて…」


「は?」


思わず俺はそう言ってしまった。

リオーナ…姉ちゃんの元の名は莉緒那だからその名を文字ったのと、ミュールゼルの支配者って事で名乗っているのはわかる。

だが、神級って…


「惑星ミュールゼルの現支配者にして、ミュールゼル唯一の生物出身のオリジンゴッド…ミュールゼルに5人いた創造神は最初の2人は騙し討ちで…残り3人は各個撃破されて皆殺しだね。戦闘スタイルは毒による戦い方を得意とするらしい。神にすら通用する毒らしいからラグアさんも気をつけた方がいいよ?」


ウルドナートは言った。


「エリス、この間のプロトクローンの生き残り2人を連れてこい。すぐに侵略はかけない。まずはミュールゼルに潜入する」


「はっ」


俺はエリスに命じてこれからミュールゼルに降りるメンバーを集めるのだった。

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