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第482話星帝会議5


「ふふふっ、大丈夫だよパパ?全部リーゼが上手くやるから。ね?」


リーゼは俺に言い聞かせるようにそう言った。

読心から見えるリーゼの頭の中は、いくつもの並列思考が同時に渦巻き、その場にあった最高の一手を模索する…


いや…コイツ本当に人間かよ…

いや、人間じゃなくてアメーバだけど、そう言う事じゃねー。

俺は思った。


もはや聖◯太子と口喧嘩している様なものだ…

俺は言う。


「悪いがリーゼ、今回は読心を使ってる。お前の考えは見えている。お前の好きには…」


言い終わらないうちにリーゼは口を挟む。


「そっか。パパも同意見でこの名前には反対みたいだね。じゃーみんなの名前に因んで…このイグロシアルって名前は残そうかな?今ここに、宇宙国家イグロシアルの建国を宣言するよっ!!星帝皇女、リーゼ・エルライド・イグロシアルの名においてっ!!」


リーゼその言葉を俺に振らずに、完全に芝居がかった口調でウルドナート…そして全体へと投げかけた。


不利になりそうな話題を無理矢理ぶった切った上で、俺に発言のチャンスを与えないまま、一気に決めにきた。


その直後会場は破れんばかりの拍手が鳴り響く。


「素晴らしいですリーゼ様っ!!このエリス感激致しました。ラグア様…そしてラグア様の盟友ウルドナート様の熱い友情に…そしてそれを形に残す…それがどれだけ素晴らしい事か」


エリスがリーゼに同調…

さすがと言うべきか。

ここまでは完全にリーゼのペース…

だが、勝負はこれからだ。


俺は言う。


「そうか。だが俺もウルドナートもそれを望まない」


俺がそう言った瞬間、会場は凍りつく。

エリスの表情が完全に青ざめているのがわかる。

よし、エリスにはちょっと可愛そうなやり方をしたが、今の一言で完全に寝返ったようだ。


「リーゼ。惑星国家イグロシアルを建国してからまだそう日がたっていない。あまりコロコロと国の名前を変えるのは、よくないはずだ」


うん、間違った事は言ってないはずだ。

エリスが可愛そうな感じになってるけど…

後で適当にフォローしとかないとな。

俺は思った。


「甘いよパパ。名前は必要だよ。確かにパパの言う事も一理ある。だけどこれからこの国は何倍…いや何百倍もの規模になる。それには上下関係ははっきりさせておくべき。じゃなければ内部の反乱分子は収まらない。パパ…そしてウルドナートをトップにした組織に再編成する。これは必要な改革だよ?」


リーゼは言った。


会場は静まりかえる。

と言うか誰も口を挟めないのだ。

惑星国家イグロシアルの、実質的な運営に携わる星帝の俺…そして皇族のリーゼの意見が割れている。

意見など言えるわけがなかった。


静寂…

それを破ったのは…


「宇宙国家の宙帝だっけ?ボクの名前にしないなら、ボクはそれでもいいよ。そもそもこの宇宙の最高神はボクなんだし?」


大バカ野朗はそう発言した。


突破口…

そう判断したリーゼの口角は吊り上がるのだった。

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