第477話エリローズの決断2
エリローズはそのまま言葉を続ける。
「ラグア様の事ははじめから気に入っていました。クソガキを倒す為…理由はどうあれラグア様はいつまでも私の大切な弟です」
「…何が言いたい?」
俺は言った。
「…そんなラグア様は私の加護を込みに考えても驚異的と言える速度で成長しました。それはもう、最初はただの微生物でしたが、今では私を遥かに超越する存在にまで……そしてそれは姉として嬉しく思うのですが、同時にもう私では姉としてラグア様を守る事はできない…そう考えると悲しくなりました」
そのエリローズの言葉でなんとなく俺は察した。
「相棒…ラグア様が私をそう呼んでくれた事も、私の願いを叶えてくれた事も本当に心の底から嬉しかった。だから…だからこそ…」
エリローズはそこで一度言葉を切る。
「…もう姉としてラグア様を…可愛い弟を守る事ができなくても…せめて姉として…そしてラグア様の相棒として肩を並べて戦える…それだけの力を身につける。そう決めました」
エリローズは俺が何も言わないのを確認するとそのまま続ける。
「そう。これは姉として…そしてラグア様の相棒としての曲げられない矜恃です。おんぶに抱っこ?かつてない強敵になるかも知れない存在達を知りながら可愛い弟に頼りきり?そんなものは断じて姉でも相棒でもありません!!」
エリローズは声を荒げてそう言った。
しばしの沈黙…
その後俺は口を開く。
「………テオレームは護衛に連れていけ。あんなアホでも一応オリジンゴッドだ。役に立つ筈だ」
俺の言葉にエリローズは目を見開く。
「てっきり反対されるかと…?今は大事な時期だから防衛戦力を減らしたくないとかそう言った理由で…」
そんなエリローズに俺は答える。
「あ?クソアマ?何年一緒にいると思ってやがる?てめえは一度言い出したら、俺がなんと言おうが強行するだろうが。今更だ」
エリローズは何も言わない。
俺は続ける。
「その代わりやる事は山積みだ。大事なオリジンゴッド戦力を2人も遊ばせとく余裕もねえ。この意味わかるな?さっさと帰ってこいよ?」
俺の言葉にエリローズは笑う。
「ふふふっ、相変わらず照れ屋ですね。読心なんか使わなくたって、今のラグア様の感情は簡単に読み取れますよ」
「うるせえよっ!!クソア………」
俺は言いかけた言葉を途中で飲み込み言い直す。
「さっさと帰ってこいよ相棒っ!!」
〜
そのすぐ後、エリローズとテオレームは別の空間軸、時間軸の宇宙に向けて旅立つ。
もう一度、肩を並べて戦う。
その曲げられない矜恃の為…




