第470話全宇宙の頂点10
「ハハハっ、ごめんごめん。自分でやったのは相当前だからすっかり忘れてたよ」
ラピロアは自分の体を、第三形態に戻しつつそう言った。
「ちっ、初期のエリローズみたいだな?つーか、なんでさっきからお前ら一言も喋らねーんだよ?」
俺は連れてきたはいいが、完全に空気と化している4人…エリローズ、エリス、ミグ、テオレームに向かってそう言った。
「いえ、少し考えごとをしていただけです…」
と難しい顔をしているエリローズ…
「はっ、ラグア様と同格な存在であるアラウザルゴッド…そんな存在とラグア様との話あいに、私ごときが口を出すのは、おこがましいと思いまして…」
と謙遜しながら言うエリス…
「言う事なんかないよー。てゆーか言葉も出ないよ。見るもの全てが新鮮で…師匠、あたしもいつか…」
そうキラキラした目で言うミグ…
「はっ、ラグア様。エリローズ様の思考の邪魔になるかと思い、今まで黙っていました」
うん、最後のバカだけが何も考えてなさそうだが、まあいいや。
コイツらが今まで何も言わなかった理由がわかった。
「まあいい。こっからはお前らも参加しろ。たぶんエルミナが目を覚ましたら、今後俺とラピロアがどう付き合っていくかって話になると思うしな?」
俺は確認を込めてラピロアにそう言った。
「うん。ボクの配下になるにせよ。友誼を結ぶにせよ。はたまた敵同士になるにせよ…」
最後に敵同士と言った時にだけ、ラピロアがほんの一瞬だけ殺気を放ったのがわかった。
ゾクリ…
空間全体が震える程の…それだけでオリジンゴッドに満たない様な神なら殺せるのではないか…と思わせる様な…
そんなラピロアの殺気にあてられたのか、はたまた偶然かエルミナが目を覚ます。
「ぐっ…」
「あ、エルミナおはよー。これからラグアと話合うから、そろそろ起こそうと思ってたんだよ?」
エルミナがぶっ倒れる原因を作った張本人は、全く悪びれことなくそう言った。
「クソっ…なんつー主だよ…パワハラもいいところだぜ…」
エルミナはそう悪態をついた。
「神にパワハラなんかないよ。そもそも力が全てなんだから?気に入らないヤツは力で黙らせろ。それがボク達、唯一絶対不変の法だよ」
ラピロアの言葉にエルミナは押し黙る。
全宇宙の頂点であるラピロアは基本的に適当でふざけているが、その力だけは紛れもない本物だった。
第三形態にすら勝てないエルミナには、その言葉が深く突き刺さった。
ラピロアはエルミナとの話は済んだとばかりに俺の方に向き直る。
「さて、ラグア。改めてボクの口から言わせてよ。ボクの配下にならないかい?」
ラピロアは俺に向かってそう言った。
俺とラピロアの交渉ははじまった。




