第43話動き出す魔王ラグア
現在進化から3時間が経過している。
オルム王国の町や村は、全て潰した。
ホントは、軍を連れて一つずつ潰す予定だったが、ちまちましてると13魔王が動き出しちまう。
仕方がないから俺が600億の敏捷に任せて潰したのだが…
「レベルがあがんねーよぉぉぉぉぉぉぉ」
4000万人以上殺したのに、レベルが1つも上がらなかった。
経験値は確かには入っている気はする。
ただ圧倒的に足りない。
これはヤバイ。
魔王順位は上がるとは思っていなかったが、これは予想外だった。
最低あと4人いる俺より化け物な連中。
ヤツらを超えない限り、俺の好き放題の惨殺ライフの夢は断たれる。
そりゃ、そうだ。
例えばいざ殺してみたのが、上位魔王の身内でしたなんて笑えない。
俺は一方的な虐殺が好きなんだ。
自分が死ぬかも知れない、ギリギリの戦いなんか嫌だし、ましては敗色濃厚など冗談じゃない。
とりあえず、自軍に戻って指示を出す。
「エリス、兵をまとめろ。帰るぞ。」
「はっ」
〜〜〜
直径10キロに及ぶ巨大な円盤。
俺達は今、空を飛んでいる。
このペースならたぶん、2日もあればエルライド王国に辿りつくだろう。
円盤の上には、俺やエリス、セリーやライナーをはじめ、連れてきた親衛隊、その他30万の兵も乗っている。
慣性の法則の問題でそこまで、スピードは出せないが、土星帝の力で作った円盤のほうが遥かに速い。
何しろ一年かかった道のりが2日だ。
え?なんで行きにやらなかったかだって?
行きにそんな事したら、目立ってしょうがないからだ。
だが、もはや俺がオルム王国を潰したのは、隠しようがないし、だったら早く戻って、次の動きに備えた方が現実的だ。
スライムやゴブリンから、逃げ回っていた頃の俺はどこに行ったか?
そんなヤツは死んだ。
以上。
もうこの世界には、俺以上の化け物は数人しかいない。
悪は物語の終盤で正義に駆逐されるのが、道理だが、現実にそんな道理など存在しない。
「誰もボクを殺せない。誰も僕を有罪にはできないのさ。」
とかどこかで聞いたセリフを言ってみる。
エリローズ 「まだ、私もいますよー。」
コイツもたぶん俺より格上なんだろう。
一応神だし。
悪は正義じゃなく、より強い悪にぶちのめされるのもあるのかな?
まあ、それでもいつかコイツは殺すけど。
〜〜〜
2日たって、エルライド王国についた。
俺は門の前に円盤を降ろすと、消滅させる。
これまでは、けっこうやりっぱなしだったけど、土星帝になってからは、作るのも、消すのも簡単だ。
俺達は城に戻る。
〜〜〜
今回の一件で俺の動きは確実にバレたが、上位3魔王と魔王順位4位の魔王以外なら単体なら勝てる。
まずは、単体で野良魔王を全滅させて、できれば魔王順位を上げたい。
ダメなら、俺単体で国をいくつか潰してもいい。
でも念の為に。
「エリスっしばらく預かれ。」
俺は触手の先っぽを切り離して、エリスに渡す。
切り口からは、すぐに自動再生がはじまり、触手が復活する。
外気に触れて、腐らないように、土星帝の力でコーティングするのも忘れない。
最終的な見た目は真っ黒な生卵みたいだ。
「ラグア様、これは?」
エリスは首を傾げている。
「これは、俺の保険だ。これがある限り、俺が死ぬ事はない。これを俺だと思って守れ。」
「はっ」
帝級スキル、不滅の帝の効果で俺は、HPが0になっても復活できる。
このスキルを得た時から考えていたが、こうすれば、俺が負けても、この黒い卵を消されない限り、俺が死ぬ事はない。
あとで土星帝のコーティングを色違いにしたヤツをセリーとライナーにも渡そう。
そうすれば、俺の生存確率は更に上がる。
「くくっくくくっ」
俺は笑う。
この日、世界征服を目論む魔王が動き出した。




