第461話全宇宙の頂点
「ああ、なんて素晴らしきこの景色…これを見る為だけにいままで私は…ああ、私はこの為に一体どれだけ…」
俺は完全に自分の世界に入っているエリローズの独り言を聞き流しつつ考える。
アラウザルゴッド…ラピロア…
名前だけでどんなヤツかは知らないが、確実にヤバイ実力者なのは明白だ。
エルミナが言うには、アゼルメーテやエルミナ自身…
いや、他のアラウザルゴッド…エルミナの話では俺を含めて合計6体いるらしいが、それが束になってかかっても戦闘にすらならないらしい…
敵対は最悪だ。
配下になるかどうかは…とりあえず保留だ。会ってから考える。
俺はそう方針を定めた。
〜
「……何千億年?いえ、何兆年?気の遠くなるような永い時の中で遂に私は…」
「おい、まだか?永い時じゃなくてお前の口上が長げーよ。いい加減いくぞ?森羅万象に入るなりついていくなり支度しろ」
いい加減しびれを切らした俺はさすがに言う。
だってもう30分ぐらいずっと1人で喋ってるし…
側から見れば完全に違う意味で怖いヤツだ。
「………デリカシーがないですね。モテませんよ?」
「うるせーよクソアマっ!!」
俺はそう怒鳴る。
「あ、そういえばラグア様は、もう子供もいる立派な家庭を持ってましたね?ふふふっ、なんだか滑稽ですね」
「笑うなっ!!来るんか来ねーんかどっちだよ?」
「ラグア様のいくところが私のいくところですよ。それに全宇宙の頂点ってのにも興味はあります」
エリローズは言った。
俺はエリローズのその言葉を肯定と受け取り他の面々を見回す。
「はっ、お許しがいただけるならお供させていただきます」
「もちろん行くよー。なんか面白そうだしー」
「エリローズ様とラグア様にはこの不肖テオレーム・クリムゾンがいる限り…」
どうやらうちのオリジンゴッド達は、全員行く気満々みたいだ。
長くなりそうなテオレームの話を俺の耳が自動的にシャットアウトしたが、それは別に構わないだろう。
俺は言う。
「待たせたなエルミナ。もうここに用はない。これからお前の主のところへ行こうと思う」
「別にそんなに待ってねーよ?オレ達は悠久の時を生きてきたアラウザルゴッドだ。この程度の時間は瞬きと同義だぜ?」
エルミナはそこで一度言葉を切り俺達全体を見回す。
「じゃー、今から転移するぜ?ラピロア様のいる空間に直接飛ぶから………ラグア。最後に一言だけ忠告しておくあの方を基準にアラウザルゴッドってのを考えない方がいい。それだけは覚えておけ」
こうして俺達はまだ見ぬアラウザルゴッド、ラピロアに向け転移するのであった。




