第454話エリスとプロトセリー2
プロトセリーは一瞬エリスが思考している気配を感じとった。
そう、感じとれたのだ。
それはつまり、プロトセリーのような王級クラスですら感じとれる様な長時間を、エリスが考えていた事になる。
エリスは考えた。
さて、どうしたものだろう?
ラグア様は処分は私に任せると言ったが、今回は判断し辛い。
とりあえずラグア様のもっとも懸念しているであろう、反乱の目はコイツらにはなかった。
だが、命令無視と言う観点から見ればどうだろう?
今回程度の命令無視ならおそらく、例えばセリー達でも判断は別れる。
ちなみにおそらくセリーならその場でコイツらを皆殺しにするだろう。
セリーはよくも悪くも自分にも部下にも厳しい。
命令無視など例えどんな理由があろうと彼女にとって許容できるものではないだろう。
逆にこれがライナーならヤツは笑って許すだろう。
アイツはセリーとは正反対だ。
アイツのラグア様への忠誠心は疑うまでもないが、やはりライナーはライナーだ。
これでライナーがもう少し…ほんの少しだけでもセリーを見習ってくれるのなら自分の後釜を…
いや今は関係のない話だ。
エリスはその思考を断ち切る。
そこでエリスはふと思い出す。
リーゼ様ならどうするだろう?
リーゼ様は自分が今まで出会った存在の中で一番と言ってもいい程の洞察力と判断力、そして頭脳を合わせもつお方だ。
そんなリーゼ様ならばどうするか…
確かリーゼ様は数日前、フィームと言う名のプロトクローンと無礼極まりないプロトライナーを、処分保留のままダミーエルライド王国に幽閉した。
あの一件のフィームの不始末は今回の一件よりも更に酷い。
もっともリーゼ様の頭の中では、その後にフィーム達をどうこうするつもりがあったのかも知れないが、今となってはわからない。
フィームもプロトライナーも現代アルムスと運命を共にしてしまったのだから…
長考…
それはオリジンゴッドであるエリスが相当時間考えていた事を示す。
そしてようやく考えの纏まったエリスは言う。
「プロトセリー、そしてプロトフィリア。私はラグア様に貴様らの処遇を任された。そして私個人の意見としては貴様らをここで斬り捨てる…そこまではするつもりはない。私と来い。ラグア様がお待ちだ」
まだどうゆう処分になるのかはわからないが、エリスのその言葉から、なんとか首の皮一枚つながった事にプロトセリーは安堵するのだった。




