第453話エリスとプロトセリー
考えたプロトセリーはとりあえずその場に跪く。
いや、宇宙空間である以上跪いた姿勢をとったと言うのが正しいかも知れないが…
少なくとも自分達より遥か目上の相手に対し、このまま突っ立っているのは無礼にも程がある。
「エリス様、このたびは私達を救ってくださりありがとうございます。エリス様の疑問にお答えする前にまずはプロトフィリアの方なのですが…」
プロトセリーはそこで一度言葉を切る。
「なにぶん死にかけで意識もあるかどうか怪しい状況ですので、どうかプロトフィリアはこのままの態勢でエリス様の前に立つ事をお許しください」
プロトセリーは言った。
「発動、神級スキル、原子の神」
エリスがそう言った瞬間、プロトフィリアやプロトセリーを蝕んでいた有害な宇宙空間が一変した。
正確にはエリスを中心に直径100メートル程の球体が生み出され範囲内が強制的に作り替えられ、内部は完全に保護される。
プロトセリーを蝕んでいた宇宙空間による体調不良も完全に消え去った。
「これで問題ないな?質問に答えろ」
エリスは言った。
これが神…
これがオリジンゴッド…
この方にはできない事などないのでは?
それはプロトセリーがそう思いたくなる程の力だった。
正確にはエリスにできない事も、その更に上位のアラウザルゴッドであるラグアにもできない事はあるが、そんなものは全て、常識を冒涜する様な神々の力の中でも、更に異質なものばかりだ。
だがそれはプロトセリーには、理解すらできるものではなかった。
生まれながらに成長が頭打ちの自分達には、到底辿り着く事ができない至高の存在…
多少の命令違反はまだしも、この方々に真っ向から逆らうなどという選択肢はバカのする事だ。
プロトセリーは思った。
もはや隠しても仕方がない。
多少の小細工はこのお方にお見通しだ。
それで処刑されるならもはや致し方ない。
プロトセリーは言う。
「はっ、リーゼ様は現代アルムスにて、私には待機命令を…プロトフィリアには包囲命令をそれぞれ出されました。しかし、惑星の崩壊が進み命令の遂行が困難と判断した私達は、現代アルムスから脱出する事を決断しました。上層部の指示を仰いでいる余裕がなかったとは言え、勝手な判断で動いてしまい申し訳ありませんでした」
プロトセリーはそう謝罪した。
それはもう綺麗な土下座である。
まだ万全とは言えないプロトフィリアもプロトセリーの後に続いた。
2人はわかっていた。
下手に嘘を、ついてこの方の機嫌を損ねるのがどのような結末を生む事になるのかを…
そんな2人に対しエリスは、一瞬考えるそぶりを見せたのだった。




