第440話終焉のアルムス3
俺は考える。
レディナの神格エネルギーはなんとしても欲しい。
もはやいずれ戦うかも知れないアラウザルゴッドとかそんな話ではない。
必要なのは今だ。
今レディナを倒して神格エネルギーを奪えば、それだけミグとの戦いが有利になるのは確実だ。
問題はどうやるかだが…
幸い現状でも拮抗させる事自体はできる。
決めにいく事はできないが、つまり時間はあるって事だ。
ならダメ元でいろいろ試してみるか。
まずはリスクの少ないのから…
「発動、無限分裂」
「懲りないバカだねー。それ前にもやったでしょ?発動、神級スキル、神眼の神」
ミグがそう言った瞬間、俺の分体達は掻き消える。
だが、俺の目的はそこじゃない。
俺の分体達は一瞬でもミグを遮る壁になればそれでよかった。
「ゴッドバースト」
その声が発せられたのは現代ミグからではなかった。
現代ミグの背後だった。
「はっ!?あたしっ!?」
とっさに振り返った現代ミグの表情は驚愕に変わる。
威力自体は大したことはない。
だが、一瞬…
それはほんの一瞬だが、自分自身に攻撃されるというありえない出来事にミグの思考は麻痺した。
そしてその一瞬は巨大な神格エネルギーを持つ、俺のようなアラウザルゴッドやミグの様な強力なオリジンゴッドの戦いでは致命的な隙を生んだ…
俺はその一瞬の隙をつき、ミグに全力の触手の一撃を叩きこむ。
「ゴッド…」
「遅えよっ!!」
ミグのゴッドバーストは間に合わずに俺の全力の一撃はミグを上下に引き裂く。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
耳をつん裂く様な悲鳴をあげ、神格エネルギーを失ったミグの体は完全に消滅する。
俺の体にミグの神格エネルギーが流れ込んでくる。
これで17倍か…
奇襲は成功だ。
これで大分戦闘が楽になった。
俺は口角を吊り上げる。
俺が何をしたかと言うなら、無限分裂に森羅万象から出した古代ミグを紛れさせたのだ。
背後からの予想だにしない自分自身の攻撃に現代ミグは一瞬動きが止まった。
まあ万が一失敗しても、古代ミグにも黄泉の神がある以上死ぬ事はない。
現代ミグの神格エネルギーが増えるって言うリスクはあるが、初期の5倍が7倍になる程度だ。
メリットの方が遥かにでかい。
だからこそ俺はこの奇襲に踏み切った。
結果は最高の出来と呼べるだろう。
「クソッ…油断したよ…でも…」
黄泉の神から復活したばかりの現代ミグは言うが、俺は止まらない。
やっと作り出したこの千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。
俺は今度はミグではなくレディナに全力の一撃を叩きこむ。
加減なんかしない。
ミグが、何かするより早くレディナの神格エネルギーをいただく。
俺の一撃は今度はレディナを縦に引き裂き、勢い余ってその真下にあったアルムスごと塵に変えるのだった。




