第434話アラウザルゴッドの影15
「ふふふっ、ふふっ、あなたそれ本気で聞いてるの?あなたがラピロア様に?ふふっ」
俺はミラの態度にイラついて殺しそうになるのを堪える。
相手は未知のアラウザルゴッドだ。
情報はほしい。
俺は言う。
「で?どうなんだ?」
ミラは答える。
「いいわ。私に勝ったご褒美に教えてあげるわ。あなたがラピロア様に挑めば…そうね…ラピロア様…いえ、No.2の…元神柱のトップのエルミナ様の姿すら見る事なく、元神柱の2〜10…九神将と呼ばれる成り損ないのアラウザルゴッド達…厳密に言えば一応はオリジンゴッドだけど、その誰かにやられる。そんなところかしら?」
は?
俺はミラの言葉が信じられずに思わず読心を使った。
ミラは嘘はついていない。
って事はマジって事かよ…
いや無理じゃね?
ヤバイなんてもんじゃねーだろ!!
マズイ…
考えろ。
おそらくこうして接触してきた以上、なんらかの反応があるはずだが、今敵対すれば確実に負けるのは明白だ。
いやミラ達は十中八九、捨て駒には間違いない。
これが原因で即敵対ということはないはずだ。
だが、いずれ敵対する可能性は十分にある。
ならコイツらは皆殺しにして、僅かでも差を縮めるのが得策だ。
上級魔神をはじめとした、ミラの配下達はこのまま殺せば神格エネルギーを無駄にしてしまうから、少し手間を加える必要がある。
よし…
俺のそう考えがまとまりかけていると、ミラは続ける。
「つまり私を殺したところで何も変わらないのよ?あなたにできる事はせいぜい…」
「ミグ、もうそいつは用済みだ。殺れ」
「はーい、師匠」
俺はミラの話の途中で、ミグにそう指示を出す。
ミグの一撃がミラの胸部を貫くのと、ミラの顔が驚愕に変わるのは、ほぼ同時だった。
「…ゲホッ…なぜ…?…そんな事をしても…」
「まだ生きてるのー?お前うるさいよ?」
再びミグの一撃がミラの体を縦に引き裂き、ミラは今度こそ完全に事切れる。
「「ミラ様っ!?貴様ぁぁぁ!!」」
ミラの配下達が主人を殺されて怒りの声をあげる。
これでいい。
怒りは判断を鈍らせる。
俺がこれからやろうとしているのは、仕上げだ。
上級魔神クラスの神格エネルギーは貴重だ。
強大な存在がいるのがわかっていながら、このまま無駄にするわけにはいかない。
俺はそんな事を考えながら、足止めにしていた分体を消滅させるのだった。




