第433話アラウザルゴッドの影14
ミグの体から放たれたオリジンゴッドの全神格エネルギーは、一直線にミラへと迫る。
そのゴッドバーストがミラへと炸裂する直前、俺はアラウザルゴッドの全力のステータスで触手を引っ込める。
完璧なタイミングだ。
ここから避けられるなら、それはもう初期のオリジンゴッドなんてレベルじゃない。
俺がミラの立場だとしても、ここから避けられるかは正直五分五分だ。
つまりコイツがここからゴッドバーストを避けるのはありえない。
俺がそう思った直後、ゴッドバーストはミラに炸裂する。
文句なしの直撃だ。
だが…
「………ゲホッ…よくもっ…ぐっ…」
そんな声が俺の耳に入ってきた。
そしてミラの体は高速で…いや、神の俺達から見れば蝿の止まるような速度で再生をはじめる。
「ほう?即死しなかったか。思ったよりしぶといな?」
「でももう虫の息だね。見た目だけは元に戻っても失った神格エネルギーは戻らない。既にコイツの神格エネルギーのほとんどはあたしに流れたし、今のコイツは下級神クラス…あたしから逃げる事もできないよ。コイツが何かをしようとする間に100回は殺せる。寝ぼけてても逃がす事はありえないよ」
「そうだな。だがミグ、コイツを殺さなきゃお前の概念は修復しない。きっちりトドメをさせ」
俺とミグはそんなやりとりをする。
黄泉の神で復活したミグを見ると、ミグの神格エネルギーはほぼ倍まで上昇している。
これでトドメを刺せば完全に倍になるだろう。
そしてこれはあくまで俺の推論だが、ミラが生き残った理由は、概念、闇弱の影響でゴッドバースト自体が弱体化した事が大きな要因の一つだろう。
俺はそんな事を考える。
その時だ。
ミラが突然笑い出したのは…
この後に及んでここから逆転の手でもあるのか?
俺は少しだけ警戒する。
あくまで少しだけだ。
ここから逆転なんか兆に一つもありえないしな?
「ふふっ、ふふふっ、ふふふふふ………ラグアだったわね?見事よ。まさかアラウザルゴッド本人じゃなくてオリジンゴッドごときにやられるとは思わなかったけどね?これでも私はラピロア様配下の、初期の神格エネルギーのオリジンゴッドの中では上位に位置するのよ?」
ミラは俺とミグを見ながら言った。
ミラは続ける。
「悔しいけど、私はここまでのようね?ラピロア様が何故私とその配下だけでアラウザルゴッドに勝機があると判断をしたのか未だわからない…いえ、もう強がりはやめるわ。心のどこかではわかってたわよ。私は所詮ラピロア様にとってはその程度の存在…失っても問題ない戦力って思われてるんでしょうね?」
ミラは自嘲気味に言った。
今のミラの言葉に対しては俺も同意見だ。
俺自身そう判断したからこそ、俺はミラを殺すという決断に踏み切れた。
そして完全に敗北を悟ったミラからはかつてのラピロアに対する忠誠心は感じられなかった。
だから俺は聞いてみることにした。
「なあ、ミラ。もし俺がお前の主であるラピロアに挑めばどうなる?勝ち目はどの程度ある?」
俺はミラに言った。




