第428話アラウザルゴッドの影9
ラグアとリーゼやミグ達がそんなやりとりをしている頃…
すでにテオレーム達の戦闘は始まっていた。
開始早々、ミラとディオーガと呼ばれた上級武神は時間差で波状攻撃を仕掛ける。
初代ラグアとソドムはテオレームに隙ができるのを待つ。
さすがに中級神クラスの神格エネルギーしかもたない彼らが、オリジンゴッドであるテオレームに直接ぶつかるのは荷が重い。
テオレームにミラとディオーガの波状攻撃が迫るが…
「発動、神級スキル、混沌の神」
テオレームがそう言った瞬間、突如大広間はアルムスから切り離される。
本来ならこのような事はする必要はない。
そもそも主であるエリローズやラグアの目的はこの宇宙の消滅…
神同士の大規模な戦闘を行うにしても、別に惑星自体がどうなってもいいなら関係ない。
だから今回この部屋を、アルムスから切り離したのはアルムスを守る為でもなんでもない。
次の技を使う為の布石である。
「混沌の神、空間融合」
テオレームの体…神格エネルギーは部屋全体に広がり、霧散する。
「くっ…」
「ちっ…」
ミラとディオーガがそれぞれ初撃を外してそう漏らした。
現在テオレームは混沌の神により融合した大広間の中で薄く広がっている。
自分が今までいた場所の神格エネルギーを意図的に0にして、ダメージを回避したのだ。
さて、ここからどうするか。
テオレームは考える。
初代ラグアとソドムはどうにでもなる。
問題は残りの2人だ。
神格エネルギーの量から片方はオリジンゴッド…
もう片方もオリジンゴッドにかなり近いレベルの存在だろう。
つまり神格エネルギーで圧縮して押しつぶすにはこちらの神格エネルギーが足りない。
オリジンゴッドとディオーガと呼ばれていたヤツにはどう考えても通用しない。
その時だ。
神通が繋がり2番目の主であるラグアより命令が下る。
「持ち堪えろか。向こうがまだスキルも概念も見せていない今なら可能か…」
テオレームは呟く。
「めんどうね…長期戦に持ち込むつもりかしら?ディオーガ、敵の技を破れる?無理そうなら私がやるけど?」
「はっ、お任せ下さい。ミラ様は攻撃にだけ集中して下されば…」
敵の方からそんなやりとりが聞こえた。
おそらくミラというのがオリジンゴッドの方の名だろう。
テオレームは警戒しながらも思った。
テオレームの戦いはまだはじまったばかりだ。




