第427話アラウザルゴッドの影8
は?
なぜこんな状況になっている?
俺は玉座に座りながら神の千里眼から見える光景に目を疑う。
テオレームと対峙しているのはおそらくオリジンゴッド…
しかも現代ミグではない。
さらにリーゼ達の方は上級魔神クラスが二体…
負ける事はないだろうが、あのクラスは概念が通じない上、リーゼ達を守りながらの戦闘になる。
たぶんこっちもけっこう手こずるな…
俺は思った。
「クソッ…めんどくせーけど出るしかないか」
俺はそう呟くと神通及び神託を発動させる。
『エリス、ミグ、リーゼ、一度イグロシアルに撤退しろ。お前らが戻りしだいエリローズをアルムスに降ろす。テオレーム、俺も今から降りる。それまで持ち堪えろ。できるな?』
俺は神通と神託を通して言った。
〜
リーゼが敵を陽動と判断した直後、リーゼに神託を通したラグアの声が聞こえる。
「………」
撤退命令か…
こっちが陽動だって事はもはやほぼ確定…
ならば深追いする必要はない。
本命のテオレームの方もパパが直々に降りる時点でもはや解決したようなものだ。
どうやら今回は自分の出番はないようだ。
リーゼはそう自己完結する。
「リーゼ様、ラグア様より撤退命令が下りました。これよりイグロシアルへ戻ります」
エリスは言った。
「エリス、心配しなくても今回はわがまま言わないよ?エリス、みんなを転移して?」
リーゼはそう答えながら思う。
目の前でこんな会話をしようが、止めるそぶりすら見せない。
やはりコイツらにはリーゼ達を倒すつもりなどさらさらない。
「そんなー…。やっと…やっと出番なのに…ひどいよ師匠。あたしも参加するー!!」
ミグは不完全燃焼で駄々をこねる。
「ミグ、ラグア様の命令だ。おとなしく…」
エリスが言いかけた時だ。
再びラグアから神通が降りる。
『いい。エリス、好きにさせてやれ。代わりにエリローズを防衛に残す』
「やったーありがとう師匠ー!!」
ミグは子供の様に飛び跳ねながら言った。
「なるほどね…まあこっちの方が一石二鳥か」
「リーゼ様?」
リーゼとその配下、そしてエリスはそんな会話をしながらイグロシアルへと転移していったのだった。
後に残ったのはミグと上級魔神と上級聖神が1人ずつ…
『…オリジンゴッドが一体に減った。レディナ、やるか?』
『いえワグナー。目的を忘れてはいけません。仕掛けられない限りは手を出してはいけません。万が一にも失敗は許されません』
上級魔神ワグナーと上級聖神レディナは、こちらもまた神通を使いそんなやりとりをするのであった。




