第426話アラウザルゴッドの影7
テオレームが扉を開けた先に広がっていたのは、大広間だった。
テオレームが三元魔だった時代はこの部屋は主に式典などに使われる事が多かった。
テオレームは部屋の中を確認する。
予想通りと言うべきか見知った顔が2人に見知らぬ顔が2人…
何者だろうか?
テオレームがそんな事を考えていた時だ。
「ノコノコ現れたわね?悪いけどのんびり自己紹介してる時間はないわ。ディオーガ、ラグア、ソドム、協力してアイツをやるわよっ!!」
ミラのその言葉で戦いがはじまった。
〜
テオレームとミラ達の戦いがはじまった頃…
リーゼ達は先行しているテオレームの後を追って進軍していた。
「リーゼ様、テオレームの動きが止まりました。つまり最低でもテオレームが立ち止まる必要のある程の強敵かと?」
エリスは言った。
「初代ラグア達と接触したか…この時代のミグか…もしくは想定外の勢力が…」
リーゼがそこまで言いかけた時だ。
「「!?っ」」
エリスとミグがほぼ同時に反応する。
「敵襲です。リーゼ様、お退がり下さい」
「キャハハっ、ようやくあたし達の出番みたいだね」
エリスとミグのその言葉のすぐ後に2人の存在が転移してくる。
1人は藍色の髪に薄紫色の肌の男…
その瞳は赤紫色に怪しく光っている。
典型的な魔族と言った見た目だ。
逆にもう1人は対象的だ。
真っ白な髪と肌の女…
そして琥珀色に輝く瞳はどこか天使を彷彿させる。
そしてエリス達がここまで警戒する理由だが、それはその2人から相当量の神格エネルギーを感じたからだ。
これがもし、上級神程度ならここまで警戒する事はなかった。
だが、この2人から感じる神格エネルギーはエリスやミグと比べても多少劣る程度だ。
エリスとミグはリーゼを守る用に構える。
「リーゼ様。ここは私達が食い止めます。リーゼ様は配下を連れて一度イグロシアルに…」
「エリス、最優先はミグだよ?」
エリスが言い終わらないうちにリーゼは言ったが、すかさずミグが答える。
「大丈夫だよリーゼちゃん。そこまでじゃない。エリスと2人でかかれば確実に勝てるはずだよ」
ここでリーゼに1つの疑問が浮かぶ。
なぜ自分達はこんな会話をしている余裕がある?
それは敵が仕掛けてこないから…
ならなぜ仕掛けてこない?
負けるのがわかっているから?
違う。
ならそもそも最初から闇討ちすればいいだけの話。
そちらの方が勝率は遥かに高いはずだ。
わざわざ姿を見せてまで仕掛けてこない理由…
おそらく時間稼ぎ…
さらにここでエリスとミグを足止めしてメリットが生まれる策…それはおそらく奇襲…
そして狙いは状況的にイグロシアルかテオレームかのどちらかだが、イグロシアルの実質的な実力2トップのパパとエリローズが揃ってる時点でイグロシアルに仕掛けるのは、もはや奇襲ではない。
テオレームが回収されている時点でエリローズは確実にイグロシアルに戻っている。
って事は…
「なるほどね。こっちは陽動で本命はテオレームって訳か」
リーゼは言ったのだった。




