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第420話アラウザルゴッドの影


時はリーゼ達が攻撃を開始した時まで遡る。


〜大魔王、ラグア・ベルゼ・アルムス居城、新生デモン・オブ・ラグア〜


その玉座の間…そこには3人の存在がいた。


1人はこの城の主…初代ラグアこと復活した大魔王、ラグア・ベルゼ・アルムス。


「攻めこんできた?いい度胸じゃねーか。俺様の名を語るようなまがいものが、俺様に勝てると?しかも本人は出てこず娘に任せるとは完全にナメてやがるぜ。ソドム、出るぞ?俺様が直々に相手してやるぜ」


更にその配下…ソドム・グラファル…


「ラグア様、失礼を承知で言わせていただきます。それはなりません。ここは一度龍王星に退き…」


ソドムがそこまで言いかけた時、初代ラグアの雰囲気が変わる。

それは怒気だ。


「ソドム、お前は俺様に一方的に喧嘩売ってきた相手から尻尾をまいて逃げろと?そういいてーのか?」


初代ラグアの怒気に一切臆する事なく、ソドムは答える。


「はっ、大変失礼なのは承知しておりますが、その通りでございます。ラグア様が昔のラグア様なら止めはしません。ですが…失礼ながら今のラグア様は弱っていらっしゃる…」


怒気を向けられても平然としていられるソドムが、それを如実に物語っていた。

本来の初代ラグアなら、こんな風に怒気を向けられれば平然となどできようはずがなかった。


「ソドム…てめえ…見ない間に偉くなったみてえだな?それは俺様にこの場で殺されても文句はないって事だぜ?」


復活した初代ラグアの神格エネルギーは帝級スキルを神格エネルギーに変換する事で多少は回復したが、未だ中級神にようやく届いたというレベルだ。

ミグ・ヒピーに神格エネルギーを奪われなければ、こんな事にならなかったが、そもそもミグ・ヒピーがいなければ初代ラグアは復活すら叶わなかった。

現在、神格エネルギーの総量自体はソドムの方が上だ。


「はっ、心得ております。元よりこの命はラグア様に捧げる為にございますので…」


だが、そのソドムの言葉で初代ラグアはある事に気づく…いや、気付いてしまった。


「ソドム…てめえ…俺様の神格エネルギーを上げる為にわざと挑発しやがったな?」


「………」


ソドムは答えない。

玉座の間はしばらく沈黙が支配する。


初代ラグアは言う。


「やめだ。腹心殺して神格エネルギーを上げるなんて俺様のやり方じゃねーぜ。だが俺様は行くぜ。こうしてる間にも俺様の配下がやられてるわけだしな?」


初代ラグアは玉座から立ち上がった。


「ラグア様っ!?」


ソドムは必死に止めようとするが、その直後玉座の間にいるもう1人の人物が口を開く。


「あら?それは困るわ。ただでさえ難しい作戦なのに、貴重な神級を無駄死にさせるわけにはいかないわよ」


その声は決して大きくはなかったが、玉座の間全体に響きわたるのだった。

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