閑話とあるアラウザルゴッドの話
久しぶりに閑話を挟みます。
少し区切りが悪いですが、このタイミングで入れないと時系列の問題で分かり辛くなりそうなので…
〜とある宇宙〜
そこはもはや何もない空間だった。
いや、正確には宇宙自体は残っている事は残っている。
だが、そこに本来いるべき生物や神々…
星々ですらそこにはもはや存在しなかった。
そしてそこには1人の少年…
白と黒のツートンカラーに別れた髪から覗く顔は、まだあどけなさが残る10歳程度の子供だ。
もちろんその少年が見た目通りの年齢ではないのは、この宇宙の惨状をみれば明らかだ。
そんな少年の前に突如、1人の人物が転移してくる。
少年は言う。
「あれー?オルメテウスじゃん。久しぶりだねー。ボクに何か用事?なんならボクの宇宙にくるかい?ちょうどボクも今から帰るところだしね?」
そんな少年の言葉に、オルメテウスと呼ばれた性別不明の人物は抑揚のない調子で答える。
その声も中性的でやはり男か女かすらわからない。
「ラピロアは相変わらず…とゆうかまた宇宙を潰したのか?」
ラピロアと呼ばれた少年は笑いながら答える。
「はははっ、別に潰すつもりなかったんだけどね?ボクはボクが気に入ったオリジンゴッドを一体配下にちょーだいって言っただけだよ?」
「それでなぜこうなる?」
「うーん、ここの最高神がボクの申し出を拒否したんだよ。それでウチの血の気の多い子達が勝手に暴れただけさ」
ラピロアはオルメテウスに全く悪びれる事もなく言った。
「…元神柱か。つまりエルミナか…」
オルメテウスは言った。
全宇宙にたったの5体しか存在しないアラウザルゴッド…
その中でもラピロアは別格だ。
ラピロア本人の途方もない量の神格エネルギー…
彼の力の底を見たものは未だかつて存在しない。
元神柱と呼ばれる、総勢1億を超える神々のみで構成されたラピロアの直属の配下達…
彼らには実力ごとに細かい序列がついており、その中には100体を超えるオリジンゴッドも含まれる。
そしてエルミナ…
それはラピロアがアラウザルゴッド最強と言われる所以のひとつだ。
アラウザルゴッドを配下に持つアラウザルゴッドなど、ラピロア以外に存在しない。
「ん?エルミナ?あの子はいないよ。拠点の宇宙をあんまり手薄にしたくはないからね?元神柱の50から上の子達はみんな拠点でお留守番だよ」
ラピロアのその言葉にオルメテウスは呆れながら言う。
「…そんな化け物の巣窟に攻めこむバカなどいるわけない…」
「はははっ、用心は大事だよ?万が一があったら困るじゃん?オルメテウスも気をつけた方がいいよ?」
ラピロアは笑って答えると続ける。
「それに拠点以外のボクの宇宙の防衛にも戦力を割いてるから、今回連れてきたのは1番上でも80番台の子だけだよ」
「…それでこの有り様か。本当にお前と敵対しなくてよかった…」
オルメテウスは言った。
「ん?大丈夫だよ。オルメテウスの宇宙はさすがにそんな戦力じゃ落とせないよ。オルメテウスもアラウザルゴッドなんだからもっと自信もった方がいいよ?」
「…お前に言われると嫌味にしか聞こえない…」
オルメテウスとラピロアはそんなやりとりをしているが、ふとラピロアは思い出したかの様に言う。
「あれ?そもそもオルメテウスは何しにきたんだっけ?」
「…ああ…お前の話を聞いてたら忘れていた…ラピロア、新たなアラウザルゴッドが誕生した…」
「へえ…それは一回会ってみたいね」
ラピロアは笑みを浮かべながら言ったのだった。




