第412話星帝と亜神2
「あ?なんだエリローズから聞いてねーのか?この宇宙消すんだよ。つーか、だからこそこの宇宙を消す前にエリローズを回収に向かわせたんだろーが?」
俺はエリローズの方に視線を送る。
「おや?確か言ったはずなんですけどね?」
エリローズは首を傾げた。
現在、この玉座の間には俺とエリローズ、そしてエリローズが連れてきたテオレームがいる。
そーいや、さっきリーゼ達が動いたらしいが、あっちの方は常に気にしているし、オリジンゴッドが二体も付いているんだ。
万が一不測の事態…
例えば現代ミグの奇襲とかがあっても、俺が行くまで十分持ち堪えられるだろう。
テオレームは言う。
「いや、ただの確認だ。二代目ラグア殿が再びエリローズ様と同じ志を持ってくれた事を嬉しく思う」
同じ志?
ん?俺コイツといつものやりとり以外で敵対した事なんか…
あー、確か一回だけあったな。
あの頃はまだ宇宙は一つだと思ってたな。
「テオレーム、俺は俺の住みやすい世界を作りたいだけだ。今から何十年か前は宇宙はこれ一つだと思っていた。だが、今は違う。宇宙は空間軸、時間軸の数だけ存在する。別に俺の住みやすい世界はこの宇宙じゃなくてもいい。俺は…いや、俺達はこの宇宙を消す。なんだかんだエリローズには世話になった。これは俺から贈るせめてもの礼だ」
俺の住みやすい世界…
気にいらねーヤツを全員皆殺しにして、俺を認めてくれる仲間や配下だけで構築する世界…
あ、それとは別に夢のスローライフには玩具も必要だな。
そしてそれを作るのは、別にこの宇宙である必要はどこにもない。
俺とイグロシアルがあればどこでもいい。
最終的な拠点はウルドナートの宇宙にしてもいいかもな?
アイツは最高神だから基本的にあそこを離れられないし、一度は共に戦ったアイツが俺の知らねーところで殺られたらムカつく。
まあ、その時はミグの黄泉の神で生き返らせるけどな?
俺はそんな事を考える。
「ラグア様、嬉しいですけどちょっと他人行儀ですね。大好きなお姉ちゃんの夢の為…」
「黙れクソアマっ!!」
俺はバカには最後まで言わせない。
「テオレーム、色々あったがお前の主…こんなバカでも一応俺の大切な仲間だ。悪いが久しぶりに読心を使った。脅すつもりはねーが、これで納得しねーなら俺はお前を殺すしかねー。エリローズの前でお前を殺すのはできればやりたくねー。俺の言ってる意味わかるよな?」
テオレームは俺のその言葉に目を見開くのだった。




