第406話現代宇宙消滅計画7
「うーん、なるほどねー。まあこんなもんか」
玉座に座るリーゼは言う。
「はっ、現代アルムスの全域はある一国を除き、全て降伏いたしました。そのうち約半数は無条件降伏、残り半数は降伏の条件をこちらと詳しく話合いたいと言っておりますが、降伏の意思には間違いありません」
そんなリーゼに対し、エリスはそう報告した。
現在はリーゼの宣戦布告から丸1日が経過している。
「さて、攻撃対象はその一国だけでいいとして、3日は時間をかけすぎたかな?まあ、降伏してきた連中はパパは気が短いから早く結論を出したんだろうけど?」
「さすがはリーゼ様です。たった1日で…しかも私達は一切動く事すらなく、これだけの結果を出されたのは、リーゼ様の未来を見通す事ができる目があってこそのものです」
エリスの言葉にリーゼは笑う。
「ふふっ、褒めすぎだよ、エリス。リーゼにはそんな目はないよ。むしろエリスの方があるんじゃないかな?オリジンゴッドの未来予知ってヤツがさ?」
「いえ、私達オリジンゴッドの未来予知はラグア様も仰っていましたが問題が多く実用には程遠く…エリローズ様は使う事も多い様ですが…」
エリスは言った。
オリジンゴッドの未来予知は現在ではアラウザルゴッドになったラグアでさえ、運用は難しいと判断した。
なにせオリジンゴッドが関わるたびに、未来が何通りにも分岐するのだ。
そんなものは未来予知とは呼ばない。
当てずっぽうもいいところだ。
ラグアはそう結論付けた。
「エリローズか…古代アルムスにいたエリローズは別として、復活したエリローズの事を、パパはすごく信頼してたな…プレイルーム以外であんなに楽しそうなパパ久しぶりにみたよ…ちょっと羨ましいな…」
リーゼは少し遠い目をしながら言った。
「リーゼ様?」
「………なんでもないよ。今でもパパがリーゼの事を信頼してくれてるのは伝わってくる。だからリーゼはリーゼのやり方で今以上にパパの信頼を勝ち取る。それだけだよ」
リーゼは言った。
リーゼにはオリジンゴッドの様な未来予知はない。
だが、特殊能力と言えるかは微妙だが、リーゼは他人の感情をある程度読む事ができた。
そしてリーゼのそれはスキルでもなんでもない、ただの観察力の賜物だ。
だから考えてる事を完全には読む事はできない。
だが、それは親しい間柄であればあるほど精度は上がる。
リーゼがアラウザルゴッドと化したラグアの…ラグア本人すら気付いていない様な感情を読めたのは、その為だ。
「エリス、この話は終わりだよ。フィームとプロトライナー以外のプロトクローンを集めて。それからミグとギースとマリアも呼んでおいて。出撃準備が整ったらリーゼも前線に出るよ?」
リーゼはエリスに向かってそう言ったのだった。




