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第400話現代宇宙消滅計画


「なるほど、あのラグアにミグ・ヒピーの残党ですか。しかもミグ本人が生きてる可能性もあるとなると、すぐに宇宙を消しにかかるのは愚策ですね」


俺の言葉にエリローズは考えるそぶりを見せながら言った。


「エリス」


「はっ」


俺が短く呼ぶとエリスは再び俺の前に跪いた。


「プロトクローンを斥候に放て。いつも通りだ。ただしアルムスに降りるのは1週間後だ。威力偵察で敵対勢力をいぶり出せ。総指揮をとらせる幹部はもう決まっている。他のプロトクローンの人選はお前に任せる」


「はっ、すぐに取り掛からせていただきます」


エリスはそう言って玉座の間を退室した。


「さあ、この宇宙の終焉を祝う最初で最後の宴…存分に楽しもうじゃねーか」


俺は玉座に座り直し、そう高らかに宣言したのだった。



〜〜〜


ラグアのその宣言から1週間がたった。


新生ドーラス王国跡地…

そこはつい先日まで、完全にただのクレーターだった。

いやむしろラグアとミグ、そして最高神と言った同時の宇宙最強のオリジンゴッド達が激突して、クレーター程度で済んだのはむしろ奇跡と言えるかもしれない。

ちなみにカティアが作った新生ドーラス王国自体は、ラグアの森羅万象により現在はイグロシアルに存在する。

と言っても現在は惑星国家、イグロシアルに統一され国としての名はもはや存在しないのだが…


そして、今回の威力偵察…

もはやこれで何度目かわからないが、ラグアはいつもの様にプロトクローン数体と量産型アンデット…

そしてダミーエルライド王国を生み出していた。


そこにあるダミーエルライド城、玉座の間…

そこにいるのは現在4人…

先日のプロトクローンを大量投入した初代ラグアとの戦いから見ると少なく感じられるかも知れないが、古代アルムスとは違い、現代アルムスは警戒するべき存在はいるが、全体のレベル自体はそう高くない。


これで十分だ。

そもそも最悪やられても問題はない。

それがラグアの結論だった。


そして、玉座には1人の女が座っていた。

残る3人はそれぞれその女に跪き、女の言葉を待つ。

それだけでも残る3人よりその女が上位の存在だと言うことがわかる。


跪いている1人…プロトライナーは言う。


「フィーム様、今回の量産型アンデット、50億の出撃準備整いました。あとはフィーム様のご命令さえあればいつでも…」


玉座に座る女…フィームは言う。


「いや、出撃はまだだ。この星の主だった勢力に斥候を放て。お前達は敵の戦力を計るのに専念しろ」


玉座に座るフィームと呼ばれた女はそう言った。

彼女がフィームと言う名を与えられ、ラグアに幹部の椅子をもらったのはつい数日前だ。

それまでフィームは名前などなく、ただプロトフィリムと呼ばれていた。


「しかし、それではただの偵察では…?ラグア様の命令は確か…」


プロトセリーは幹部であるフィームの考えに疑問を持ち、そう言うが言い終わらないうちにフィームは言う。


「貴様、ラグア様から名を授かりし私の命令が不服とでも言うのか?」


「もっ申し訳ございませんっ!!」


フィームが殺気を込めてそう言うと、プロトセリーは腰を90度に折り曲げた。


「プロトセリー、細かい事は気にしちゃダメだよ。私達は偉大なるラグア様から名をいただいた、幹部であるフィーム様の命令に従うだけだよ」


最後の1人プロトフィリアがそう言うとプロトセリーは黙って頷く。


「命令は以上だ。変更があればまた呼ぶ。行け」


「「はっ」」


三体のプロトクローンはフィームの命令で量産型アンデットを斥候にする準備の為部屋から出ていく。




フィームは誰もいなくなった玉座の間で1人考える。

自分が幹部になれたのは、運が良かっただけだ。

つい先日、自分と同様の任務についた名もなきプロトクローンは古代アルムスで皆散っていった。


そう彼女、フィームは古代アルムスに放った偵察の生き残りだった。

彼女はラグアに対する忠誠心は未だ色褪せてない。

名を与えて幹部にとりたてられた事にも感謝していた。

だが、古代アルムスの件が完全にトラウマになり、今回の配下に出した命令は慎重…いや消極的とも言えるものになっていた。


「ラグア様…二度と同じ過ちは繰り返しません。一切の被害を出さずに命令を完了します」


フィームは空に浮かぶイグロシアルを見上げながらそう誓ったのだった。

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