第398話三つの目的3
俺はエリスの言葉を聞いて少し考える。
エリスの星王就任に伴い、空いた総統の席…
確かにいつまでも空席にしておいていいものじゃないが、なんだかんだ残った最高幹部である現四天王は四天王のままの方がいい気がする。
アイツらにはここ何十年も上下関係は存在しなかった。
今更それを崩すのもな…
かと言って四天王以外から総統を出すって選択もありえない。
星王クラスを総統にすえるならヤツらも悪く思わないが、そもそもそれでは本末転倒だ。
それではエリスが総統だった頃と何も変わらない。
俺は考えた末言う。
「………わかった。だが、あくまで参考にするだけだ。今回の結果だけでお前の後釜を決めるつもりはない」
「はっ、私ごときの意見を聞いて下さりありがとうございます。それから差しでがましい事を言って申し訳ありません」
エリスは恭しく俺の前に跪いた。
「エリス、師匠の前だと固すぎー」
「お前が適当すぎるんだよ」
俺はエリスを茶化しだしたミグにそう突っ込んだ。
「さて、話を戻すぞ。とりあえずミグはどっちでもいいって言ったな?」
「うん」
ぶっちゃけこの何も考えて無さそうなミグと同意見なのは、アレだが俺もどっちでもいい。
じゃなかったら多少の意見は聞くかも知れないが、大まかな方針自体はそもそも1人で決めてる。
「で?お前ら2人は古代アルムスの侵略を優先すべきと?」
「その方がよろしいかと?」
「はい。ですが私の意見はそれこそ参考程度に聞いてくれて構いません」
俺の問いにエリローズとエリスはそれぞれ答える。
「ならこの宇宙の次は古代アルムスだな。さて、ここまではもう決まったが、エリローズ。お前に聞く。この宇宙を消す事に障害となりえる可能性があるのは誰だ?」
「はて?この時代のクソガキ、そしてこの時代のミグ・ヒピーも倒れた今障害となる相手などいましたか?」
「あれ?この時代のあたし死んじゃったの?」
エリローズの答えにミグが反応してそう言った。
「この時代のお前は俺を殺す事に執着していた。アイツとは和解なんかもはや不可能だった」
うん、嘘は言ってないはずだ。
「………そっかー。でも師匠みたいないい人を殺そうとするなんてこの時代のあたしはあたしじゃないみたいだね?」
ミグは言った。
まあ、ミグとはいろいろあったからな。
それより…
「俺がいい人?」
俺の疑問はそこだ。
「うん。師匠は仲間思いのいい人だよ。だからこそあたしは師匠に一生ついていくって決めたんだよ?」
ミグはこともあろうに俺に対してそう言ったのだった。




